「 大きな幅で揺らぐ自分でいたい 」

本を読む。考える。
学びたいと思う。知りたいと思う。

私にとってその始まりは、自分の扱いずらい心をどうにか大切にしてあげたいという思いだった。そうしないと心が苦しすぎた。
中高生の時、当時は小さな世界で、狭い視野で、「こうあるべき」「こうあらねばならない」という枠を沢山作って、その中に自分を押し込めようと必死だった。苦しめていた。
そこから気づくとどうしても外れてしまう、ずれてしまう自分を否定していた。

大学での心理学の学びと、伝記や自伝書、エッセイ等、本が見せてくれた多様な生き方や思考。
学ぶこと、知ることで、視野が広がった。
「当たり前」「普通」「こうあるべき」なんてものは存在しないのだと、軽やかな自由を知り、傾きを有する自分を許せるようになった。
凄く楽になった。救われた。

ただ最近、知ることや学ぶことは、自由になると同時に不自由になることに気づいた。
学べば学ぶほど、知れば知るほど、軽やかになり、ぼんやりとしたものは確かな輪郭を持ち、曇り空は晴れ渡っていくものだと思っていた。

それは違った。
ゆらゆらと揺らぐその幅が増えていくということなのだと思う。
世界が広がると揺れは小さくなるどころか、大きく幅を増す。
大抵のどんなことにも、これという正解はなく、これという絶対はない。
「あたりまえ」と捉えていたことはあっという間に疑問に変わっていく。
どんなことも色んな面を有している。
ただ、今の私がどの面を見ているか、どこまで目が行き届いているか、の問題でしかない。
学び、知ることで色んな事に目が届き、途方に暮れてしまう。
何かを決め付けることの愚かさ。
どうしても何かを選び取らなくてはいけないと時の苦しみ。

ただ、大きくゆらゆらと揺れられるようになると、自分にしっくりくる絶妙な角度、傾きを選びとれるということでもある。
揺れる続けること、沢山の中から選ぶことは確かに大変だけど、私は、これしかない、これから外れたらダメと、選択肢がないことの苦しみを知っている。
そのたった一つの選択肢から外れないよう自分の広がりを抑えるもどかしさ、それでもずれてしまう自分へのいらだち、それに比べたら、大きく揺らいで沢山の中から選べるいまが幸せだと思う。

もっともっと大きく揺れることのできるよう、もっと学びたいと思うのだ。
どんな事柄も、本当に色んな面を持つ。
良い悪い。白と黒。
そうやって世界はきっぱりと別れていないということを知る。
その間に広がる世界。グレーの世界に足を踏み入れると、晴れ渡るというよりもまさに暗闇に迷いこんだような心細さに襲われる。
それでも私は、ひとつひとつの事柄について、自分がしっかり納得し、気に入ることができるグレーを見つけていける人でありたい。
繊細なグレーの彩度を楽しみたい。

”優しさに色があるなら 赤でも青でも黄色でもない 全部を混ぜあわせて ただ一つ出来る色だ(sekainoowari イルミネーション)”
 
”「白か黒で答えろ」という 難題を突き付けられ ぶち当たった壁の前で 僕らはまた迷っている 迷ってるけど 白と黒のその間に 無限の色が広がってる 君に似合う色探して やさしい名前を付けたなら ほら一番きれいな色 今君に贈るよ(Mr.children GiFT)

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