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海の見える町と猫

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勝部あかりさんと猫のお話
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#朗読

海の見える町と猫 4話

海の見える町と猫 4話

 もうすぐわたしの昔話も終わります。

 今では、うろこ港の町並みも、人も、猫も、波にさらわれて、川の駅のテラスだけがぽつんと残っています。
 ここまではボートを使わないといけないから、散歩にでかけるのも一苦労です。
 最近では、とうとう川の駅のテラスにも海が上がってきました。

 あたしは書き上げた手紙を瓶に入れて、テラスの上でそっと放した。
 瓶はしばらく波に揉まれて、それから夕日の沈んでいっ

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海の見える町と猫 3話

海の見える町と猫 3話

 実は十月頃、あたしは少しややこしい恋愛をしていた。というのも、少し前まで付き合っていた林君が、もう一度やりなおそう、と言ってきたのだ。あたしはうだうだと迷ったあげくそれを受け入れた。けれど、やっぱりだめだった。いつの間にか好きは冷めていて、あんなに離れたくなかった林君はただのかさばる男になっていた。好きっていつかは冷めるものですよ、とあの猫だったら言ったのかもしれない。
「別れよう」
 最初にそ

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海の見える町と猫 2話

海の見える町と猫 2話

 あれから、あたしはよく川の駅へ通うようになった。歩いているときは変に深刻ぶってもやもやすることがないし、なにより外の空気は気持ちいい。あの猫とも、時々会っては話をした。ここらの釣りスポット、とか、旬の魚をつかったパスタの作り方、とか、新鮮な魚の見分け方、とか色々教えてもらった。スーパーの魚を選ぶときは、目が光って澄んでいて、体の色が鮮やかにみえるものがいいらしい。結構、勉強になる。

 十一月に

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海の見える町と猫 1話

海の見える町と猫 1話

 夕暮れの海をみたいな、と、あたしは思った。いつもは疲れきっているのだが、そのときあたしは、なぜか海に行こうと思ったのだ。うろこ港の海岸までは川沿いを時間をかけて歩いた。ところが海岸まであともう少しのところで夕日は沈んでしまった。そそくさと港町の屋根の陰に隠れていった夕日をみて、ああ、もう少しはやく来ていればじっくりみれたのに、と思った。私はしばらくうろついて、古びたコンクリートのカフェに向かった

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