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6月に読んだ本まとめ

 こんにちは。さいきんインディーゲーム『Library Of Ruina』にドハマりしていて、読書もnote更新も何もかもすべておろそかになっていたことを、ここで懺悔します。

 いやでもそのくらい面白いゲームなんだよ……。クリアしたらいろいろ感想まとめたい。

 そんなわけで7月に入ってからもう10日も経つけれど、6月に読んだ本をまとめていきます。


ウーヴェ・ティム『カレーソーセージをめぐるレーナの物語』

 大戦末期のドイツを舞台にした物語。レーナの生きざまが強烈で好きだった。強くてたくましくて実直で。いろいろ考えて鬱々となってしまったり、淡々とした語り口に眠気を誘われたりもしたけど、読んでよかった。食べることと生きることは地続きになってるんだよな……と改めて思い知らされる作品。

 カレーソーセージ(カリーヴルスト)、ドイツ行ったときに食べたことがあるんだけど、あのジャンキーな味がたまんないんだよねぇ。思い出すと食べたくなっちゃう。

村田沙耶香『信仰』

 村田沙耶香、やっぱり好き。今回も脳が揺さぶられる最高の読書体験をした。どの話も面白かったけど、「書かなかった小説」と「最後の展覧会」が特に印象的だったな。

 詳しい感想はこちらにて。↓

谷口菜津子『今夜すきやきだよ』

 フリーのデザイナー・あいこと絵本作家・ともこの共同生活を描く物語。結婚を否定するでもなく、そこを2人の関係の終わりにするでもなく、という落としどころが良すぎた。新たな家族の形だ……。

 彼女たちには世間の常識なんて蹴とばしてほしいし、これからも自分たちらしくしあわせに生きていってほしい。

米代恭『往生際の意味を知れ!』第1~5巻

 表情の描き方がえげつないくらいハイクオリティ。特に目。画作りの上手さも半端なくて、気付いたときにはもう物語の世界観に引きずり込まれている。ストーリーは好き嫌いが分かれると思うし、正直ラストにたどりつくまではなんとも言えないかな。

 なんにせよこの作品の登場人物たちを見てると、誰かに執着するということのヤバさと気持ち悪さが存分に伝わってくる。

荒川弘『黄泉のツガイ』第1巻

 1巻読んだだけでこのワクワク感。やっぱり荒川弘のダークファンタジーは良いものですね。山奥で育ったユルが現代社会にカルチャーショックを受けつつ、なんでも「そういうものか」って順応してっちゃうところがかわいい。

 敵キャラも皆魅力的だったのでこれからの展開が楽しみだ。

阿部共実『月曜日の友達』上下巻

 若さゆえの葛藤だったりきらめきだったりがぎゅっと詰め込まれていた。表現が独特で、刺さる人にはとことん刺さるタイプの作品。

『彼女。百合小説アンソロジー』

 7人の小説家による百合小説がまとめられたアンソロジー。最推しは青崎有吾「恋澤姉妹」! “観測者”を決して許さない、2人だけの閉じた世界がたまらんかった。バイオレンス描写も容赦なくて見ごたえある。

 次に好きなのは斜線堂有紀「百合である値打ちもない」。「恋澤姉妹」とは対照的に、自分たちの関係を世界から祝福してもらいたい2人の物語だった。もーなんでそうなるかな! とイラつきつつ、彼女たちの気持ちも痛いほどわかるという……。

 ちなみに青崎有吾も自身のTwitterで、この2作が対になってるとつぶやいてる。

 事前の打ち合わせなどはまったくなかったらしく、すばらしすぎる偶然の産物に唸った。アンソロジーはこういうことがあるから面白いんだな。

乗代雄介『パパイヤ・ママイヤ』

 ガール・ミーツ・ガール小説として最高の作品だった。何より2人の会話が面白すぎ。中身がなくて話した次の瞬間にはもう忘れてるような会話、リアルすぎた。

 2人ともそれぞれ複雑な環境にあるものの、へんに重くなりすぎたり、感傷的になりすぎたりしないのが絶妙。

ミン・ジヒョン『僕の狂ったフェミ彼女』

 読みながら何度か寄声とともに本を投げ捨てそうになったけど、ぐっと我慢して読了してよかった。いやよかった……? とは言い切れないけど、ともかく素晴らしい作品だった。作者の立場とは逆の人間を主人公にすることで、彼の歪みや狂ったところをあぶりだす手法がお見事。

 人間わかりあえねーな。本人に歪みの自覚や変わろうとする意志がない限り、いくら対話を重ねようと平行線なんだな。と、うんざりするくらい何度も思った。自分にも当然当てはまることなので自戒の意味もこめて。

 あとがきに書かれている通り、“彼女”に名前が与えられていないのがよかった。しかも作中では「ありふれた名前」と評されているし。どこにでもいる、普通の、ありふれた人間が、ここまで怒りと恐怖を抱えて生きるのを強いられているということ。その意味を考えさせられる。


 7月まだ1冊も本を読み終わっていないという異常事態。でも今読んでる山尾悠子『夢の棲む街/遠近法』が面白い予感しかしないのでオールオッケーです。

 いろいろチェックしたい作品が多すぎるし、ゲームは楽しいけど難しくて時間溶けるし、1日100時間欲しいっていつも思ってる。

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