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『きのう何食べた?』 16 よしながふみ

知人について、「やっぱりちゃんとしている人」だということを再認識したり、その人たちが認められていたり慶事を見ると嬉しい。10年以上の連載で一緒に時を重ねてきたら、架空の人物であってもそう感じる。

最新刊の始まりは15巻の終わりに話が出た「ケンジの家族にシロさんが会う」というエピソードで始まる。意図は何なのかとシロさん(と読者)はいぶかりつつも、大人の対応で食事を共にする面々。ケンジのお母さんがシロさんに会いたいと思った理由、そしてケンジのお姉さんたちのふるまいなどから、彼らの人の好さや誠実に生きてきた積み重ねがひしひしと伝わってきた。「ケンジ、良いおうちで育ったね~!(お父さんはしょうがない人だったけど)」と心から思った。こういう地味なところを丁寧に、心遣いを持って対処する人たちが社会を、日本を、世界を回している。胸がすく思い。

シロさんもついに弁護士事務所の所長に就任。出世したくなかったシロさんも昇進。軽口を叩かれたりしつつも周りから好かれていたり、良い人だわと思う。(彼のお金の使い方も素敵だった。けちんぼなのに…)シロさんが元カレとケンジに思うこと、ついにカヨコさんがあの人と対面…など、本当によく描かれている。私はちょうどリアルライフで「うわぁそんなことするんだ…」とえぐい出来事があってショックを受けていた。そんな時にシロさんケンジはもちろん、その家族や同僚、カヨコさんといったまっとうな人たち(完璧な善人というわけではなくて)に接したことで、「やっぱりまっとうに生きたいわ、私も」と思った。よしながさん、素敵な人たちを私に会わせてくれてありがとう。地球のピンチを救うヒーロー達のカッコよさは映画や漫画にしやすいかもしれないけれど、こういうしみじみとした人の好さ、深さって、なかなか表現しづらいと思う。

そして!!元日のドラマも楽しみ!!!

マンガ321.『きのう何食べた?』 16 よしながふみ

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