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『穂村弘の、こんなところで。』穂村弘

資生堂の季刊誌『花椿』に載っていたという穂村さんとゲストの対談。2016年の出版。写真撮影とペインティングはアラーキー。ゲストはユーミンや瑛太といった歌手、俳優、作家のほか、本の装丁を手掛ける名久井直子さん、美術史家の金沢百枝さん、女性棋士など。

先日、穂村さんの対談集『あの人に会いに 穂村弘対談集』(本87)を読んだのでどうしても比べてしまう。個人的には全員私が知っている対談相手と、深い話をしている『あの人に会いに』の方が好み。私は穂村さんがとても好きなので、もっと穂村度が濃いものが読みたい。

極めてオシャレな雑誌の1コーナーなのと、ビジュアルを際立たせるためだと思うのだけれど、私が求めているものとフォーカスがずれている。このインタビューは『花椿』の中で読みたかった。このハードカバーより大きなサイズで、色々な記事が詰まっている『花椿』の中で、美しく読みやすい仕上がりになっていたと思う。「穂村さんって素敵ね」と感じるような非常に良いページだったと想像する。雑誌の連載をまとめたエッセイ集を何冊も読んでいるけれど、こんなにギャップを感じたのは初めて。

・・・そうか、この本は「穂村度」ではなく「花椿度」が高いのだ。主役は穂村弘でもゲストでもアラーキーでもなく、「花椿であること」。もしかしたら資生堂という企業による本だからかもしれない。そういえば、『ダルちゃん』(漫画239-240)も『花椿』だからこその美しく繊細な漫画だった。 雑誌を出ても残り香がある。恐るべし『花椿』。圧倒的な世界観。『花椿』をちゃんと読みたくなって、定期購読を検討中。

93 穂村弘の、こんなところで。


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