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『ぼくが13人の人生を生きるには身体がたりない。』 haru

一生懸命読んでいたら降りる駅を乗り過ごした。6歳から25歳、男も女も性別不明も含めた13人の人格が1つの体に宿っている。「多重人格」というのが私の知っている言葉。タイトルには「解離性同一性障害」と書いてあるから、それが正式名称なのだと思う。そこの辺りのワーディングがわからないので、失礼にあたる言葉の使い方をしていたらごめんなさい。

そういったこともわからないけれど、頭の中に本人含む13人の声がする、ということがわからない。一人ひとりの特徴(年齢や好きなこと)がざっと説明されていたりして、私も把握しようとするけれど、サッカーチームを超える人数の特徴なんて私に覚えられるわけもない。複雑すぎる。

そして何より、これまで私が持っていた知識にはない情報が流れ込んでくるから、情報の処理に時間がかかる。決して難しくなくて、むしろ読みやすいけれど、私が初めて知るような、考えるようなことばかりなのだ。例えば、本人のharuくんは現在実家暮らしで、母親と住んでいる。haruくんにとって彼女は母親だが、残る12人にとっては母親ではないという。12人はどこから来たの?個性豊かだけど、別の人、なんとか霊とか憑依とかそういうものだったりするのだろうか。自分が作り出すにしては複雑すぎないか。でも、作り話にしては、雑多すぎる。本には私がTwitterで見ているレンタルなんもしない人が登場するし、haruくんの中のある人格 圭一が作ったアプリ「cotonoha」がGoogle Storeに並んでいるし、haruくんのnoteTwitterも存在する。どうやらこれは私と同じ世界、同じ時間を共有している人の本当のお話らしい。

この本の中では、主人格のharu(23)くんは「おわりに」しか書いていない。本編はまとめ役の洋祐くん(23)や嵐の二宮くんが大好きな結衣ちゃん(16)といった人格が交代に綴っている。彼らはそれぞれの人格が生まれた背景、haruくんの性格などを分析し、haruくんを見守っている。読み進めるうちに、haruくんのこれまでと今や見通し、そして解離性同一性障害についてがなんとなくわかってくる。

誰しも、自分の中に違う人がいる。私は女だけれど、かわいい女の子を見たりすると嬉しくなる男要素があるし、子供のようにはしゃぎたいときも、老成した人のように「さもありなん」と思ったりするときもある。私の人生がもっとハードだったり、やり方を編み出していたとしたら、私も自分の中にもっと主体的な別人格を生み出しただろう。haruくんが超特別というわけでなくて、誰しもそういう面を持っている。「多重人格ってどいうこと?」と興味本位で手にとったこの本。私にとって全く新しい世界、認知を開いてくれた。

180.『ぼくが13人の人生を生きるには身体がたりない。』 haru

2020年読んだ本(更新中)
2020年読んだマンガ(更新中)
2019年読んだ本:77冊
2019年読んだマンガ:86冊
2018年読んだ本:77冊
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