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ファウスト交響曲のレクチャー

本日はインプットの日。
午前中はカワイ表参道で開かれた

「パスカル・ドヴァイヨン&村田理夏子 ファウスト交響曲ガイドツアー」

と題したセミナーに参加しました。
今回のセミナーの趣旨は、来月6日に浜離宮朝日ホールにて開かれるドヴァイヨン先生と理夏子さんの「ファウスト交響曲(2台ピアノ編)」をメインとした演奏会に先立ち、この長大なリストの交響曲について演奏やお話を交えてレクチャーしてくださるとのこと。前半はファウストとは一体誰だったのかに始まり、なぜこの題材が多くの芸術家達を惹きつけてきたのかについての先生の考察を聴きました。続いて、交響曲に登場する3人の人物(ファウスト、グレートヒェン、メフィストフェレス)のモチーフがワーグナーのライトモチーフのように扱われ各楽章のテーマとなり、曲を通してテーマが形を変え変貌していく様子を、演奏を交えながら解説してくださいました。

 講座の途中で先生が言及されましたが、ピアノを弾く者にとっては、この曲はどうしたってリストのロ短調ソナタに結び付けないわけには行きません。グレートヒェンのモチーフ、そしてメフィストのフーガなど、楽譜からも耳からも類似点は認識できます。ロ短調ソナタの完成が1853年で、ファウストは1854年完成ということですから、2曲を重ねて比べるのはこじつけ解釈ではないのでは…

ところで、1楽章のある部分を理夏子さんとドヴァイヨン先生の実演で聴いている最中に、ふと「今聴こえてくる各テーマや、重なり合うモチーフ達は、ソナタ形式のベースに留まりながら展開しているのだろうか」と疑問が頭をよぎり、各楽章の形式すら確認してこなかったことを後悔していました。すると演奏が中断した所で先生が会場に向き直って
「この曲はソナタ形式では書かれていない、唯一2楽章はABA形式で展開部があるが、他の楽章は展開部を持たない」
と教えてくださいました。こういうことはよくあるのですが、質問するまでもなく回答をその場で頂けるステレパシー(?)的なスピーディーさが嬉しいです。

 リストのソナタはライフワークのように常に時々思い出しては弾く曲なので(いつまで経ってもまともに弾けないとも言う)、次に練習する時に楽譜を読む材料となり、新たなイメージを持つことができるかも知れません。ファウスト交響曲は長大で複雑、変貌していくテーマを耳だけで拾うのは非常に難しいのでスコアを見ながら聞きたいと思いつつ、帰宅して早速スピーカーから流してそのユニバースに浸っています。素晴らしい学びの機会を有り難うございました。4月の演奏会が今から楽しみです!


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