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フランスの気になる話題

 フィガロの動画クリップニュースから気になった話題をピックアップ。フランスの人気YouTuberオランプ(本名はリリー)は、2023年の最後3ヶ月間に自殺幇助を受け安楽死することを選択したと自身のチャンネルで告知し、物議を醸しています。フランスでは安楽死は認められていないので、法的に罰せられないベルギーと話がついているそうです。去年亡くなった映画監督のゴダールが91歳でスイスにて自殺幇助を受け、安楽死を選択したことが世の中に問題提議したことは記憶に新しいですが、今回のオランプはまだ23歳の若い女性。これまでいわゆる精神医学で言う人格障害に苦しんできたそうです。注意障害、解離性人格障害、1人の体に複数の人格が現れる精神病を持ち、インターネットを通じて彼女のそういった日常を配信してきたけれど、もう疲れたと。そして、決して一時的な衝動で決めたわけではないと主張しています。彼女は「これまでただ『受ける』だけの人生であった。14年間に及んで学校では執拗な嫌がらせ(=ハラスメント)を受け、小児愛、グループによる暴行、思春期に5回の暴行を受け、家族に捨てられ4ヶ所の施設に入れられ、7年間に20もの家庭に引き取られてきた。限界にきたから、限界に押されてベルギーでの安楽死を選ぶ」と話しているそうです。変な言い方になってしまうけれど、自殺は1人でもできます。しかし幇助を受けるということは、自分が死を選ぶことが正当だと認めて欲しいと本人が望んでいるのですよね。あなたは高齢で身体の自由がきかないから安楽死を認めます、あなたは若いし体は健康なのだから認めませんーなどと、苦しみに対して人間が客観的に優劣をつけたり、公平な判断基準を設定することは難しいでしょう。もう生きられないほど苦しんだ、という個人の訴えは聞き入れられ、平等に認められるべきだと思います。しかしインターネットで告知することでの、フォロワー(特に未成年者)への影響は軽視できないはずです。動画クリップのニュースでは、コメンテーターが「彼女が安楽死を計画するためにベルギーとコンタクトを取ったと示していることが問題だ」、そして要望を引き受けた「EUのモデルであるべきベルギー」についても言及していました。オランプさんの件は「安楽死の選択」そのものより、誰でもアクセスできるツールを使っての発信や社会的な責任についても考えてしまいます。願うべくは、誰かが10月までの間に安楽死以外の選択をするよう説得すること。そうでなければ、自ら「もう少し生きてみよう」と意思が変わるぐらいの明るい出来ごとが起こるようにと祈りたいです。


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