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犬が鳴く 音は遠くで 跳ね返り 無言で揺れる 木立の斜陽 霜柱 乾いた路面に 張り付いた 古い言…
人影も まばらな黄昏 西の空 交番に 道を尋ねる 来訪者 シャッターが 閉ざされたまま 割れた…
ストーブに 灯油を足して 火を灯す もういない 君を傍ら 探したい 眠らない 夢を見るには お…
寝ていたわ 昨夜のカケラを 抱いたまま 朝の光は 無慈悲なものね 私には 数える程度の 優しさ…
薄氷が 夜の恋しさ 閉じ込めて 寒いのか 暖かいのか 解らない 冬はもう 始まったんだと 聞いた…
後悔というもの それは幾度となく 押し寄せる波のよう 目を逸らしても 立ち向かっても さして…
郊外の住宅地は 倒壊寸前で佇む 古ぼけた家屋の隣 真新しい箱のような 定型の戸建が幾つか並ぶ 細い路地は唐突に 建設計画が滞った アスファルトの侵略 片道二車線の路面に 街灯の光は落下 沢山の人が ほんの間近で 寝起きしている だのに日も暮れると 水を打ったような 静寂に音は浸透 僕は訪問者 行きずりの詩人 知られる事もなく 知らせるつもりもない だからなるべく息を殺し 無灯火で走り抜ける
優しさは 不意に訪ねる 風のよう 気付いて追えば 消えるだけ そんなこと 分かっていたって ど…