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無灯火で走る
郊外の住宅地は
倒壊寸前で佇む
古ぼけた家屋の隣
真新しい箱のような
定型の戸建が幾つか並ぶ
細い路地は唐突に
建設計画が滞った
アスファルトの侵略
片道二車線の路面に
街灯の光は落下
沢山の人が
ほんの間近で
寝起きしている
だのに日も暮れると
水を打ったような
静寂に音は浸透
僕は訪問者
行きずりの詩人
知られる事もなく
知らせるつもりもない
だからなるべく息を殺し
無灯火で走り抜ける
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール