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小学校教材最高峰「やまなし」への道/評論文上達のステップ

令和6年度第2週目もスタート!

週末に蓄えたご褒美貯金を切り崩しながら、
今週もやり抜きます♪


共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨

教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌

どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


今週の「お品書き」です🎵

📘今週のLIBRARYのラインナップ📗

(2024.4.8~4.14)

📒→全員最後まで読める記事
📓→メンバー以外は途中まで読める記事

【月曜日】
📒小学校教材最高峰「やまなし」への道/評論文上達のステップ
【火曜日】
📓りょーやんのルーティンを公開!平日/休日ルーティンの全貌
【水曜日】
📓《文学②》今週の1冊 from library
📒マンガも人生の勉強に!魂を揺さぶられた厳選マンガ7選!
【木曜日】
📓限られた人だけが知っている、師匠の選び方/学び方
【金曜日】
📓《note論》フォロワー1000人以降に変化しなければならない3つのこと
📒「学級崩壊」の地獄から生還する/教師を続けるために必要な条件
【土曜日】
📓エネルギーの正体が人類の謎を解き明かす!意外な視点で見えるものがある
【日曜日】
📒こわい?ならば話しましょう。ADHD/ASDの薬物療法の基礎基本

読みたい記事があれば、
是非、LIBRARYにお越しくださいね✨


作文。
日記。

様々な文章術の記事は、
幾つか投稿してきました。

今回は、また1つ種類の違う、
文章指導のステップを記事にします。

それは、

評論文のステップ

です。

評論というからには、
根拠を示す、
極めてロジカルな文章ということ。

子どもたちに、
どのように論理的な文章を書かせるのか、
その詳細をお伝えします。

気を楽にして、
読んでもらえるとうれしいです。



小学校教材最高峰へのチャレンジ

小学校教材の中で、
最も難解だと呼ばれる教材があります。

それは、宮沢賢治の、

「やまなし」

という教材です。

正直、これは、
大人でも読解することができません

現に、筆者はこれまで一緒に働いた同僚の中で、
「やまなし」を教えることができる人に、
誰一人として出会いませんでした

指導主事の教員でも、
教えることができる人を、
聞いたことがありません。

「何を言っているのかが分からない」
「難しすぎる」

どの先生も、
そのような感想を抱きます。

冒頭部分から、

「???」

の連発です。

例えば冒頭の一節。

「クラムボンは笑ったよ。」
「クラムボンはかぷかぷ笑ったよ。」

「クラムボンって何やねん!」
「かぷかぷ笑うってどういうことやねん!」

思わずツッコミが入ります。
さすが、賢治ワールドです笑

筆者自身、
この「やまなし」を授業する準備が整うまでに、
5年の歳月がかかりました。

全国から、
ありとあらゆる資料を集めてからではないと、
全く読解できませんでした。

それほどまでに、
難解に難解を極める教材。

授業を終えた後の、
子どもの評論文は、
どのようになったのでしょうか。

引用します。

この「やまなし」では、
「五月の動物界」と「十二月の植物界」に
分かれている。
これは何を表しているのか。
五月が動物たちの「食物連鎖」「弱肉強食」
「生存競争」の世界で、
十二月が、「自己犠牲」「共栄共存」の世界ということを表している。
・・・
この五月と十二月では、
真逆のイメージである。
それでは、なぜ賢治は、
真逆のイメージにしたのだろうか。
それは、賢治の夢である。
だれでも、五月の世界よりも、
十二月の世界の方が良いと思うだろう。
だが、思っているだけで、
実際「自己犠牲」や「共栄共存」を
行動に移していない人が多いのだ。

「・・・」は筆者が省略

このような論調で、
この5年生の子どもは、
400字の原稿用紙で、
150枚以上の評論文を書きました。

他にも、
200枚を越えて書いた子どもや、
100枚越えの子どもが10人以上。

大学生の卒業論文で、
原稿用紙50枚ぐらいだと思うので、
余裕で大学生レベルを越えています

noteでも4000字の記事を書くことは、
かなり労力を必要とするはず。

4万字以上の文章を、
たった1つ文学作品についてだけで、
10・11歳の子どもが書くというのは、
かなりの力が要求されるはず。

この子たちは、
一生書くことには困らないでしょう。

ただ、そこまでに行きつくまでには、
1年間の緻密な計画と、
国語の授業で魂と魂をぶつけ合う、
闘いの日々
がありました。

では、4月から、
どのようなステップを踏んで行ったのかを、
解説していきますね。


評論文指導のステップ

1つの教材で、
1つ新しい「型」を教える。

それが評論文指導の基本です。

3つほど、
ステップを示します。

【型其の一】
~であると考える。なぜなら~だからである。

基本中の基本ですね。

例えば、
このような教材と発問を使います。
(記事の都合上、主要部分のみに省略します)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
話者は男だと考えます。
なぜなら、「ぼく」と書いてあるからです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そのように、
文中から根拠を見つけることを教える。

もう1つ発展のステップで、
できそうな子どもには「もし」を提示します。

【型其の二】
もし~であるなら、~であるはずだ。

これを付け加えると、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
話者は男だと考えます。
なぜなら、「ぼく」と書いてあるからです。
もし女であるならば、「わたし」となるはずです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

と進化していきます。

次の授業。

次は、「解釈」を教えます。

本当は、
ドラえもんの動画を使って、
スネ夫が探偵になる面白い授業なのですが、
主要部分はカット。

教える型は以下です。

【型其の三】
~ということは~ということだ。

この時使った教材と発問は、以下。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝だと考えます。
なぜなら、「あ、今、太陽が山をはなれた」と書いてあるからです。
山をはなれたということは、太陽が昇っているということです。
もし夜なら、「山にかくれた」になると考えます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

このように段々と、
詳しく論じることができるようになってくる。

そして、
次のステップを通過すれば、
もう小さな評論文に挑むことがでできるでしょう。

【型其の四】
辞書で「〇〇」を調べると、「△△」と書いてある。

幾つか助走問題でこの型を練習した後、
以下の詩で実際に使ってみます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
季節は、冬だと考えます。
なぜなら、「たんぽぽねむってる」と書いてあるからです。
辞書で、「たんぽぽ」を調べると、「3、4月ごろに咲く花」と書いてあります。
3、4月に咲くということは、春に咲くということです。
もし、もう春の季節ならば、「たんぽぽ咲いている」になると考えます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どうでしょうか。

ここまで書くことができれば、
結構長い文章で、
論理的に論じることができてきている感じが出てきます。

さて、ここからは、
物語教材や、詩歌を使って、
評論文を書いていきます。


実際に評論文を書かせる

当たり前ですが、
いきなり評論文を100枚書くことは、
大人でもできません。

それまでは、
かなりの「鍛え」が必要です。

よって、
評論文を大体、
月に1回ぐらいのペースで書かせていました。

例えば以下のような教材です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・スイミー
・春 安西冬衛
・雪 三好達治
・大造じいさんとがん

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

スイミーは2年生教材ですが、
スモールステップとして、
簡単な教材で評論文を書かせていたはずです。

ここでは、
1つ1つを取り上げていくことはしませんが、
評論文を行う上で、
絶対に欠かせてはならないものがあります。

それは、

「教師が手本を書く」

ということです。

教師の文章を読み、
ダウンロードし、
それと自分の意見をミックスさせ、
アウトプットを何回も何回も繰り返していくと、
子どもたちは、
身体で文章を覚えていきます。

それに加えて、
「教師が手本を書く」ことは、

「俺も一緒に戦う」

という意思表示でもあります。

あなたたちだけ書かせることはしない。
教師も書く。背中を見せる。
一緒に挑戦し、一緒に成長していこう。

そのようなソウルを、
子どもに伝え続け、
共に前進していく。

だから、子どもたちも、
一緒に支え合いながら、
文章を書くことと、
格闘し続けることができます。

詩歌の分析の教え方は、
以下の記事にまとめてあります。


やまなしの評論文

さて、やまなしの評論文や授業に挑む前に、
筆者自身が心に決めていることがありました。

それは、

自分自身も100枚以上の評論文を書く

ということです。

そのためには、
深い教材分析は必須。

よって、見開き2ページごとに、
なるべく全ての語句を調べ、
質問を100個考えていきました。


そして、毎回の授業を映像で撮影し、
授業で出た意見の整理と分析をし、
次回への改善点をその日のうちにまとめる。

そうやって、
授業をブラッシュアップしていったのです。

この授業の度に、
子どもたちには、
大量の意見のメモを、
ノートに蓄積させていっています。

そして討論を行った視点ごとに、
評論文を書かせていったのです。

最終的に、
筆者が手本で示した評論文のプロットは、
以下のようになりました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【序論】
初発の感想
【本論】
一、話者の視点はどこか
二、クラムボンとは何か
三、イサドとはどんな所か
四、会話文の検討
五、黒は何を表すか
六、白は何を表すか
七、赤は何を表すか
八、銀は何を表すか
九、鉄は何を表すか
十、黄金は何を表すか
十一、青は何を表すか
十二、魚は何を表すか
十三、かわせみは何を表すか
十四、かばの花は何を表すか
十五、やまなしは何を表すか
【結論】
物語の解釈
学習を終えての感想

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

実際にノートに貼った一覧表があります。

その下にメモが書いてあるのですが、
薄く原稿用紙何枚を書いたのかが記されている。

「青は何を表すのか」

だけで、
原稿用紙17枚
もの論を書いていたようです。

40~50時間と書いてあるので、
評論文を書き上げるのに、
それぐらいの時間を要したのでしょうね。

この時は試算で90枚ほどだったので、
子どもと話し合いをしながら、
足していったことを覚えています。

教師の手本を常に配っていたので、
どのような子どもも、
安心して取り組むことができる。

そして、
人によってプロットは変えてよく、
どれだけ書くかも自分が決めて、
量を調整できるようにしていました。

多くの子どもが、

「先生は絶対超えます!!」

と言ってきたので、

「逞しく育っているな」

と感じていましたし、
実際に越えてきました。

この時期の子どもたちは、
学校で5~6枚、
家で10枚書くことを、
毎日繰り返すなんて子どももいたはずです。

膨大なエネルギーを投入し、
魂を使い切るまでやり切った評論文

それは、深く、深く、
子どもたちの身体の中に刻まれた
と、
信じています。

最後に、
筆者の「やまなし」の解釈のノートを、
載せておきますね。

筆者自身が、
この話をどう捉えていたのかを知りたい方は、
読んでみてください。

5年生用なので、
漢字表記が少ないのはあしからず。


まとめ

この1年間で、評論文だけでなく、
毎日日記も書いていた子どもたち。

1年間で書いた文章量は、
原稿用紙1000枚を超えている子どもも、
たくさんいたと思います。

「やまなし」が終わったときは、

「一生分書いた。もう文章は書きたくない。」

とまで言わせてしまったので、
正直「やりすぎたな」と思っています。

そんな変態なしつこい筆者の挑戦に、
ついてきてくれた子どもたちには、
ただ、ただ感謝です。

お母さま方からは、

「うちの子が勉強に目覚めました!」
「先生、鍛えてくださってありがとうございました!」

と言ってくださる方がおり、

5年生担任だったのに、
その子たちが6年生で卒業する時には、
熱いソウルをもったお父さんに、
骨が砕けるほど抱きしめられました笑

そんなことも1つの思い出です。

今も尚、子どもたちが、
逞しく生きていってくれていることを、
願っています。


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「コメント」も残してくださると有難いです!コメントを読んだ方々が、より教育についての知見が深めることができる図書館でありたいと思います。

いつもいつも、最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!


明日の記事は、

📓りょーやんのルーティンを公開!平日/休日ルーティンの全貌

です。

筆者が普段から、
どのようなルーティンを回しながら、
執筆活動に集中しているのかを、
まとめていきます。

是非、楽しみにしていてください🎵

皆さんの今日・明日がよき1日でありますように😊


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