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4局面のつながり

良い守備は良い攻撃から。 良い攻撃も良い守備から。

サッカーに携わっていて、選手、スタッフ、分析、観客のどの視点で観ていてもこれが感じない試合が多いです。

特に育成年代。

前回のnoteで自分たちのサッカーにこだわるチームは相手が抜けているから、守備も抜けているという話をしました。
(見ていない方は下記リンクからどうぞ。)

結論から言うと、勝つチーム、観ていて面白いチームは
『攻守の繋がりがあるチーム』
です。

攻撃と守備は別の局面ではありますが、切り離して考える必要はありません。
むしろ戦術的に繋げて考えるべき局面です。
攻守の繋ぎ目になるトランジションこそ大事なので。

4局面プラス1

ではまずサッカーの試合では4局面があると言う事を改めて理解している必要があります。

  • 攻撃

  • 攻撃から守備への切り替え(ネガティブトランジション。以下ネガトラ)

  • 守備

  • 守備から攻撃への切り替え(ポジティブトランジション。以下ポジトラ)

です。
こうやって書き表すと繋がっている事は簡単に理解が出来るはずです。

なお、プラス1というのはセットプレーです。
個人的にはセットプレーのスタートは独立した局面だと考えています。
そこから4つの局面に流れていくイメージです。。
(もしかしたら同じ考え方の方もいるかと思います。)

攻撃は言うまでもなく、チームとしてボールを保持している局面・時間です。

ボールを失ったらネガトラを経て守備の時間へ。

相手がボールを持つ守備の局面を経て、ボールを奪ったらポジトラを経て攻撃へ。

このように試合中は基本的に4曲面がグルグル回るイメージです。

繋げて考える必要性

ここからが本題の深掘りです。

なぜ言葉にすると簡単に思える4曲面の繋がりが、戦術にはそこが忘れられるのか。

答えは1つ1つの局面でしか戦術を考えていないからです。

攻撃の時に守備の事も考えてポジションを考えているか。
守備の時に攻撃の事も考えてポジションを考えているか。

ここが考えられていると、ポジトラ、ネガトラの時間が極端に短くなります。
と言うのも、この2つのトランジションは一瞬のように思えるかもしれませんがそうでもありません。

トランジションが起きた瞬間と言うのは一般的にボールを失いやすいと言われています。
そこに目をつけたペップ・グアルディオラが5秒ルールという名のもとネガトラでの即時奪還を選手達に求めていました。
当時のメッシやシャビ、イニエスタももちろんそれに従ってプレーしていましたし。

なのでこの5秒のトランジションでどうやって自チームに優位性を持たせるか。
そこが大事です。

ペップのようにボールを失った時に即時奪還ができる距離感でボールを回すか。

クロップ時代のドルトムントがゲーゲンプレスと呼ばれるロングボールから意図的に高い位置でネガトラを引き出し、攻撃に繋げるか。

監督によってはそこの考え方は様々です。
大事だと捉えている方は。

ではなぜ大事だと考えてないかわかるのか。

それは「切り替え」というワードです。

このワードは正直便利です。

トランジションが発生した時に遅れた選手に言えば良いので。

ただ、このトランジションが起きた時に選手に何をするべきか落とし込めているのか?
落とし込まれているだろう戦術を遂行できるポジショニングを取れているのか?

ここは非常に大事です。

トランジションが遅れている原因は選手だけではないのがわかるはずです。

ポゼッション×ネガトラ

例を出していきましょう。

基本はポゼッション。
即時奪還をネガトラで行いたい。

こんな考えの監督がいるとします。
日本だと多くの指導者の理想かもしれません。
ペップがそうなので。

ここで最適化するべきは選手の距離感です。

しかし、選手一人一人の距離が均等に10m離れていたら即時奪還は出来ません。
(チームにもよりますが、10mは流石に遠いです。よほど身体能力に差がない限り。)

5mの場所、中間地点で失ったらすぐに置いていかれるので。

なので、考えるのはサイドで幅を取る選手は良いとして、中盤でボールを回す選手の距離感を適切な距離なるように指示や落とし込みをするべきですね。

また、ネガトラの際にどこに押し込むのかも大事なポイントです。

闇雲にボールを奪いに行こうとして、交わされては意味がないですし、使われたくないエリア(多くの場合は逆サイド)にボールを動かされたらピンチに陥ります。

この事象が何回も起きるチームはおそらくネガトラの戦術的な落とし込みがなされていません。

育成年代ではたーくさん見てきました。
自チームでも数回これが起きたら必ず次の練習でネガトラから追い込む練習をやってました。

それくらいポゼッションとネガトラはセットです。

また、カウンターとポジトラもセットです。

ハイプレス、ミドルブロック、ローブロックのどの守備ラインの高さでも、カウンターを打つことを考えたら、ポジトラが起きた瞬間にどこに走りやすいかを考える必要があります。

カウンターを打ちたいからと言って高い位置にアタッカー陣を数人残して、結局前向きサポートがない状態で背負わせる。
個人的には意味のわからない状況です。

上記の状態だと「ポジトラでどうする」という部分が完全に欠落してるので、厚い攻撃にはなりません。
考えられているのであれば、前向きサポートがあるはずですし、2、3人でスピードを落とさずにゴールを目指す為に前向きで受けられるようにするはずなので。

そもそもこういうチームはカウンターを打てずに失点をしますが。

カウンター×ポジトラは「どこで奪う」「どこに誰が走る」「誰がどこに立って守備をする」が整理されている必要があります。

ここが整理される事で、相手が素早いネガトラからのプレスを掛けてきても回避してカウンターを打つことができます。

心理

この二つの事例は言葉にすると非常に簡単です。

しかし実際にやると難しい心理状況があります。

守備をやる事をネガティブに捉えがちになるという事。

フットボールは基本的にボールを扱う種目なので、守備時はボールを持ってないです。(そんな事言わなくてもわかるかと思いますが・・・。)

育成年代からトレーニング=ボールを扱う技術、になりがちなので、守備に比重を置いたトレーニングはされる事は多くはありません。

そこでカテゴリーが上がったり、自分たちよりも強い相手と試合をする事で、守備面の違いを感じる事がよくある事です。

今回のこの話では、守備面の意識の低さがネガトラでのプレスの甘さ、ボールを奪う事ができないから攻撃に転じる事ができないという現象につながるわけです。

まとめ

良い守備は良い攻撃から。
良い攻撃は良い守備から。

どうやって戦術的に攻守に繋がりを作るか。
試合中に良いプレーをし続ける為には4局面のどの局面も疎かにはできません。

だから・・・、守備はやりましょう。

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