コロナ感染者立ち寄りで店名公表された老舗「王王軒」のラーメン食べてみました!『“今更”記事にした理由』番外編
こんにちは。高松支局の牧野直翔です。
先日、徳島支局の米津柊哉記者とともに、47リポーターズで記事を書きました。コロナ禍の中で徳島県のラーメン店「王王軒」が、感染者が立ち寄ったとして県に店名を公表され、風評被害に遭った出来事を取材したものです。
こちらの大阪支社note上でも、米津記者が取材の経緯や背景を振り返った記事を執筆しました。
突然ですが、私は大のラーメン好き。讃岐うどんを差し置いて横浜家系の総本山である「吉村家」の全国でも5店しかない直系店舗「高松家」だったり、高松市民に50年以上愛される老舗「ごんなレジェンド」だったり、毎日のようにラーメンをいただいています。
そんな私ですから、仕事とは関係なく王王軒には何回も足を運びました。
取材を通して、王王軒の店長、近藤純さんの見えないこだわりや創業秘話も知ることができました。これは、ご紹介しなければもったいない!
今回は番外編として、王王軒さんについて詳しく解説してみました。
■ 徳島ラーメンの特徴
まず、王王軒は「徳島ラーメン」と呼ばれるご当地ラーメンのジャンルに属しています。横浜市にある「新横浜ラーメン博物館」のウェブサイトによると、徳島ラーメンはトッピングとしてチャーシューの代わりに豚バラ肉を入れたり、生卵を落としたりする所に特徴があります。
また、スープの色で大きく「白」「黄」「黒(茶)」の3種類に分類され、王王軒のラーメンは豚骨ベースに濃い口しょうゆを加えた黒系に入ります。
■ あこがれの味を目指して
王王軒は1998年、今と同じ場所で創業しました。病院の給食を作る調理師だった近藤さんは、元々ラーメン店を開業するのが夢だったそうです。
近藤さんがまだ小さかった頃、祖父母に手を引かれて連れて行ってもらっていたのが、徳島ラーメンの”元祖”と呼ばれる店「広東」(徳島市)でした。今はもう廃業してしまっていますが、近藤さんは「あの匂いと味が忘れられない。広東の味に少しでも近づけるように、今も毎日研究しています」と話します。
王王軒という名前は、近藤さんが大好きな野球選手、王貞治さんの愛称「ワンちゃん」から。小声で「実は犬好きでもあって…その『ワンワン』でもあります」と教えてくれました。そういえば、王王軒の看板には犬のロゴがデザインされていますね。
■ いざ、実食
実際に王王軒のラーメンをいただきました。どろっと濃厚なこってりスープに、甘く煮た豚バラや大きなメンマなど、トッピングがこれでもかと乗せてあるラーメンにライス、たくわん。野生的な豚骨の匂いに食欲をそそられます。そうそう、徳島ラーメンはライスの「おかず」という立ち位置らしいです(本当か?)。
まずはスープを一口。
とっても濃いのに、甘みがあって優しい味です。美味しいのはそのはず、王王軒のスープは創業以来一日も欠かさず継ぎ足しながら熟成させた、「年季の入った」こだわりの味。それだけに、県から店名公表を受けて売り上げが激減した際も、スープを捨ててしまわないように、どうしても店を休みたくなかったそうです。
麺は細麺ですがスープがよく絡んで、箸が止まりません。
艶やかに光る卵の黄身を割れば、さらにまろやかさが加わります。かために炊かれたライスにスープをれんげでひとすくいかけて食べると、あっという間に茶碗が空になりました。
スープも飲み干して完食。ごちそうさまでした!
■ 3世代愛される店
王王軒はもうすぐ開業27年目を迎えます。「開店当初に小学生だった子が、今度は自分の子どもを連れて今でも来てくれています。早い人だと孫を連れて来たり」と近藤さんが笑います。
まだまだ味の探求を続けている近藤さん。自分が「広東」の味を目指したように、「志してもらえるようなラーメン店になりたい」と歩みを止めません。
近藤さんは現在、米津記者の本編でご紹介した通り、徳島県と裁判を続けています。裁判費用を集めるクラウドファンディングでは、王王軒のファンや同業の人たちが多くの応援のコメントを寄せています。
近藤さんははにかみながら「ラーメン屋の良いところは、ファンができるところですね。愛されていると感じます」と話していました。これからも美味しいラーメンを作り続けてください!
牧野記者はこちらのnoteにも登場します。