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ドラキュラ デメテル号最期の航海

(Vtuber配信用の台本)

字幕:「ドラキュラ デメテル号最期の航海」の感想

字幕:注意! ネタバレ有り

良い映画を褒ほめます。
詰まらない映画も褒めます。

信じる・信じないは、あなた次第。
「今日も優しく、うそを語ろう」

映画配信サービスのユーネクストで「ドラキュラ デメテル号最期の航海」を観ました。

英語のタイトルは「The Last Voyage of the Demeter」です。
日本語タイトルを付ける時に「ドラキュラ」の名が追加されています。
この物語が「ドラキュラ」の一部であるということ自体が、本国では1つのサプライズ、1つのネタバレになっているらしいのですが、日本では堂々と「ドラキュラ」と名乗っているので、それはネタバレの範疇ではないという前提で話します。

どのみち、原作小説を既に読んでいる人にとっては、「デメテル号」の言葉だけでピンッと来るでしょう。

デメテルは、ギリシャ神話に出てくる穀物の女神ですね。

主人公の船医を演じた俳優が、なかなかに良い味を出していました。
コーリー・ホーキンス。
調べてみると、有名な作品に数多く出演していました。
痩せ型の長身で、たたずまいがシュッとしていて涼し気な感じです。

「俺は、一流大学を卒業したのに、黒人だから就職できなかった」みたいな台詞せりふが唐突に出てくるのが、ちょっと不自然でした。

船乗りたちの台詞せりふなまっている事から、彼らが様々な国から来た寄せ集め集団であると分かります。

僕の感想としては、
「良く言えば正統派、悪く言えば新鮮味の薄いホラー」
といった所でしょうか。

欠点らしい欠点も無いし、特筆すべき点も少ないホラー映画でした。

しいて良かった点を挙げるとすれば、19世紀末の大英帝国が舞台である、という所でしょうか。
やっぱり、雰囲気があります。
時代劇ホラーは、たまに見ると目の保養になります。

では、ここからネタバレで行きますので、ご注意ください。

(少し、間を空ける)

元祖ブラム・ストーカー作「ドラキュラ」の第7章を切り出して、単独の話に仕立て上げた映画らしいです。

小説の「ドラキュラ」は、もちろん僕も読んでいますが、だいぶ昔のことなので細かいところは忘れていました。

航海中の船の上という閉鎖空間で、ひとり、またひとり、と船乗りたちが殺されていく話です。
「エイリアン」とか「遊星からの物体X」とかと同じ系統でした。

そのプロットを、ある意味「先祖返り」的に19世紀ビクトリア朝のゴシック・ホラーに仕立て上げる、というのが、この映画のコンセプトです。

コンセプト自体は良いと思うのですが、それ以外に特筆すべき所はありませんでした。

吸血鬼に噛まれたヒロインが、自ら朝日を浴びて死ぬというラスト・シーンも、とある吸血鬼映画で似たようなラストを既に観たことがあります。

冒頭で「ヒロインはロマニー語を話す」という設定が出てきますから、彼女はロマ(いわゆるジプシー)なのでしょう。

肝心のドラキュラに関しても話しましょう。
今回のドラキュラは、見るからに我々人間とは別の生物として描かれています。
ちょっと違和感がありました。

一応これはブラム・ストーカーの「ドラキュラ」を原作としているはずです。
原作のドラキュラは、怪物であると同時に「伯爵」でもあります。
人間の言葉を話し、人間と商取引(土地の売買)をします。
彼の姿は、(どんなに不気味であったとしても)人間の範疇であるべきです。
「見た目も立ち居振る舞いも人間の貴族なのに、その実態は怪物」というのが原作小説のドラキュラの属性でしょう。

そのドラキュラというキャラクターを、この映画では完全に別の生物、それこそ「エイリアン」に出てくる異星のクリーチャーのように表現しています。
ブラム・ストーカー原作とうたっている以上は、ある程度は原作の他の部分との整合性が必要だと思うのですが……

この映画のドラキュラは、別の生命体が人間に擬態している、っていうSF的な解釈なのかな?
そういえば、医者(科学者)である主人公が、しきりに「この世界に科学で解明できない物は無い」みたいな台詞せりふを繰り返していたから、やっぱり「新解釈、SF版ドラキュラ」を狙っているのかも知れません。
ドラキュラは宇宙から飛来した知的生命体である、みたいな解釈なのかも。

物語のラストで主人公が「バンパイア・ハンター」になる事を決意します。
仮に続編が作られるとしたら、アクション・エンターテイメントになるのでしょうか?

そろそろ締めましょう。

結論としては、
1、とくに欠点はありません。
2、よくある閉鎖空間ひとりずつ殺される系ホラー。
3、ビクトリア朝ホラー。
4、吸血鬼は、人類とは別の生命体(わりとSF寄りの設定)
といった感じです。

おすすめできる客層としては、
・ホラー好きな人(ただし刺激は弱め)
・ビクトリア朝の雰囲気が好きな人。
・「エイリアン」も「遊星からの物体X」も観たことが無い人。
・逆に「エイリアン」とか「遊星からの物体X」みたいな閉鎖空間ホラーが大好きな人。

こんな感じでしょうか。

ではでは。

(少し、間を空ける)

「僕の言うことは全て、うそだ」
と、クレタ人が言った。
「今日も優しく、うそを語ろう」

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