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失敗しない内外装の色選び①

割引あり

色選びに必要なこと

みなさんは内外装の色選びに自信がありますか?
いつも悩んでしまって色選びが後回しになっていませんか?

設計者によくある悩みだと思いますが、
コツさえ押さえれば「失敗しない色選び」は誰でも簡単にできるようになります。

実は私も色選びにまったく自信がありませんでした。
ここだけの話、私は少し色弱です。日常生活は特に問題ありませんが、濃い赤と黒の見分けがしづらかったり、黄緑と黄色の違いがわからないことがあります。
そんな私でも自信をつけた方法があります。

それは「マンセル値を覚える」ことです。

数値で覚えることを始めたきっかけは、
加藤幸枝さんの「色彩の手帳 50のヒント」という本に出合ったからです。この本にはマンセル値について分析が書かれていて、それを見て色弱で勝負するには数値で覚えるしかないと思ったんですね。現在では、100のヒントとして改訂版が出ていますので、ぜひ購読をお勧めします。

そもそも、なぜマンセル値を覚える必要があるのでしょうか?

皆さんは、色を指定する時どうしていますか?たとえばパースの色を依頼する時はいかがでしょうか?ちょっと濃くとかちょっと明るくとかそんな感じでしょうか。現場で色を決めるときもサンプル作成して、もうちょっと淡くとかビビットにとかでしょうか。

何度も行き当たりばったりでやり取りをしないと決まりませんよね。
また、その時はいい色を選べるかもしれませんが、他の物件で同じようにしたい時に再現性が低いですよね。

私の場合は、色のイメージが数値化されているので、こんな感じにしたいなと思ったら10YR8/1. 5など数値で指定できます。また、実際の建物を見てもこれはN3くらいだなとかわかるので、自分の案件でも採用できるようになります。

それではどのようにしたら数値で色を覚えて、数値で色を指定できるようになるか。そのノウハウをお伝えしようと思います。

ご紹介した「色彩の手帳」にもノウハウは書かれていますが、私の10年以上組織設計事務所に勤め、意匠設計者として公共案件を複数設計した経験をもとに、より実務設計者に利用しやすい情報をご提供したいと考えています。

ちなみにこれからの内容は、景観と調和する色選びをゴールとしていますので、とにかく建築を目立たせたいという方には向かない内容ですので、ご注意下さい。

N(無彩色)について

まず覚えて頂きたいことは、N(無彩色)です。

Nは明度(明るさ)のみで数値が決められています。
N0が黒、N10が白です。

では、世の中にあるN(無彩色)のマンセル値はどのようになっているか覚えてみましょう。

「覚えておきたい5つのマンセル値」
焼杉、アスファルト:N3
瓦(いぶし銀):N5
コンクリート:N7
アルミ(シルバー):N8
白しっくい:N9

実際には少し色味があり、無彩色ではありませんが、ここではわかりやすくNだけで分類してみました。これら5色を覚えておくだけでNの数値を決めるときの基準ができます。

他にも「東京都景観色彩ガイドライン」に色々な素材のマンセル値が載っていますので参考にしてみて下さい。

Nによる外装選び

白と黒の選び方

「覚えておきたい5つのマンセル値」を習得したところで、
さっそくNによる外装選びについてお話します。

Nで外装を選ぶ時、白や黒にしたいときは何を選べばいいか。
結論としては、白はN9程度、黒はN3程度が良いと考えます。

理由としては、昔からずっと残っている色、普段から見る色には違和感を感じず、それを超える色には違和感を感じると思うからです。

昔からずっと残っている白としては白しっくいのN9なので、それを超えると違和感を感じられる可能性が高まります。

昔からずっと残っている黒としては焼杉のN3です。これ以上暗いと違和感を感じると思います。

N9のしっくいとN3の焼杉(伝統的な酒蔵の景観)

それでは、実際に白の外壁の事例を見てみましょう。

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