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5年後に退職する新卒サラリーマン【第二章】 (14)

第一章 <激動の就活編> は、こちらから


しかし、その新卒営業研修の成約実績で、安斎が「同期1位」になることはなかった。

初日の成約実績2件獲得に全てを出し尽くした安斎は、続く2日目、3日目… ウソのように仕事をサボった


営業ローラー作戦の最中に、コンビニでジャンプを立ち読みしたり、公園でのんびり時間を潰したりしていたのだ。


そう。調子が良かったのは最初の1日だけで、その翌日から、安斎の成約実績はずっと「0件」続き。また最終日にちょっとだけ本気を出して、追加で成約3件を獲得。

1週間の合計で実績5件。同期の中で、上でもなく下でもなく、可も不可もなく、「普通」の成績で営業研修を終えたのであった。



そう。安斎は、新卒1年目にして「サボりの天才」だったのだ。



何せ、新入社員の中でも特にコミュ力の低い理系の「チー牛」たちは、飛び込み営業の実習など完全に畑違いで、1週間の合計実績がゼロという社員もたくさんいた。

そもそも、大学院で研究ばかりしていた技術系社員にまで、一人残らず全員に「営業研修」をやらせるあたりが、同期全員横並びの日系老舗企業という印象だ。

チー牛たちも「やれやれだぜ…」と言っているにちがいない。

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