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5年後に退職する新卒サラリーマン【第三章】 (10)

第一章 <激動の就活編> は、こちらから
第二章 <戸惑いの新入社員研修編> は、こちらから


営業研修中の、寺島トレーナーの言葉が、安斎の頭に引っかかっていた。


死に物狂いで働きなさい。若い頃は、死ぬほど働くくらいでちょうどいいのです。私も、若い頃は毎日徹夜で働いたものです。睡眠時間を削り、プライベートを顧みず、趣味も友人も捨て、ひたすら仕事のことだけを考えて、身体にムチ打って働き続けたからこそ、今の私があるのです。

皆さんも、若いうちは、死ぬほど働きなさい


要するに、根性論だった。

とにかく長時間働くことで結果を出すのだと。プライベートを捨てて仕事のために尽くすのだと。

「オパンティー営業のすべてを知る人」「西日本のトップ営業マンたちを育て上げた真の教育者」などと呼ばれているからには、さぞ強力な営業の極意を持っているにちがいないと思っていたが……


出てきたのは、根性論だった。

もうちょっと、「販売実績データの分析手法」とか、「お客様の心をつかむ営業トークの本質」みたいな研修内容を期待していたのだが、実態は、全く違っていた。



「いらっしゃいませ!! こんにちは!!」

「いらっしゃいませ!! こんにちは!!」


「もっと腹から!! 声を出して!!」

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