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日記_2018年5月4日(金)

映画「君の名前で僕を呼んで」を観てきた。

男性同士のラブ・ロマンス、しかもセクシーなイケメンが出てくるだと??
妙な興奮とともにめちゃくちゃ楽しみにしていた作品。

とにかく映像が美しかった。
家族が避暑をする別荘の内装、北イタリアの町並み、そして夏の光線にさらされた素肌。

きっと日本みたいにジメッとせず、カラッとした暑さだろうから、夏は大嫌いだけどこんな夏休みはうらやましいと思った。

17歳のエリオは、古代ローマを研究する大学教授の父と、複数の言語もサラッと理解する母のもとで育てられ、とても多才。
数え切れない本を読み、ギターやピアノをたしなみ、編曲なんかもできてしまう。

お顔立ちも整いまくりで、ウェーブのかかった豊かな黒髪がキュートで、好意を寄せてくれる女の子ももちろんいたりして。
でも、同年代の仲間といる中だと、どこか退屈そうで、自分の知性や才能を持て余しているようにも見える。

そんなところにやって来た24歳の大学院生・オリヴァーは、毎年助手を試すために父が繰り出すイジワルな嘘も難なく論破するほど賢くて、気さくな人柄でみんなともすぐに打ち解け、水着姿のしなやかな肉体も完璧で、非の打ち所がない、といった感じ。

あっという間に人気者になるオリヴァーに対して、嫉妬というか、面白くない気持ちでいっぱいのエリオは素っ気ない態度をとるが、同時に、自分と対等、もしくはそれ以上の能力を持つオリヴァーに強烈に惹かれることになる。

17歳の性的な衝動が先走る、そういう甘酸っぱいシーンももちろん印象的なのだけど、個人的には、天才と天才が共鳴し合う構図というか、二人にしかわからない世界みたいなものが描き出されてあったことがとても好きだった。

美しい映像、繊細なピアノのメロディーは、二人の洗練された知性を表現しているようで、手を伸ばしても届かない、そんな完璧さを感じた。

お気に入りの場面は、エリオが適当に弾いたメロディーをオリヴァーが気に入り、「もう1回ちゃんと弾いてくれよ」とウキウキ頼むと、デタラメに全く違う曲調を繰り返してとぼけるエリオ、というシーン。

「いや、なんでちゃんと弾いてくれへんねん、かなわんわ、やってられへんわ・・・」とオリヴァーがトボトボ立ち去ろうとするタイミングで当初の繊細で美しい旋律をピアノで奏で出す小悪魔エリオに、「いや、ちゃんと弾けるんやないかい自分・・・というか、ホンマはうまいんやん自分、最高やん自分・・・。」となるオリヴァー。もう最高。(※もちろん関西弁ではありません)
音楽をこんなに直接的なコミュニケーションツールとして使いこなすなんて、かっこよすぎる。

男同士の、肉体が重なる場面はもちろん攻撃力が強いけど、とにかく知性の共鳴の描写が素晴らしくて、特別な二人感がより際立っていたように思う。

最終的に、二人の関係はひと夏の思い出として終わってしまい映画のラストとなるのだけど、だからそれだけよりいっそう、同等の純度の肉体と精神を共有する人に巡り会えた奇跡が尊いものだと感じられた。

ラブに限らないで、天才同士の共鳴、みたいな作品でいうと、恩田陸のピアノコンクール小説「蜜蜂と遠雷」が良かった記憶。

ちなみに、エリオは男を好きになることに対して葛藤が薄いのか、あまり強調されていなかった。多少の躊躇はあれどフラットに、衝動に対して正直だったのが、うらやましかった。17歳の頃の自分を思い返すと、常識にがんじがらめだったから特に。

エリオの両親にはゲイカップルの友人がいたり、両親ともそれぞれエリオに対してオリヴァーとの仲を肯定する言葉をかけてくれたりして、こういう環境で育つと自分の気持ちを大切にできたりするのかな、と思える素敵な家族だった。

う~ん、色々とよい映画だった。

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