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「組織」という本がとても良かった。

僕は今「組織戦略推進室長」という肩書きをもって仕事をしているんですが、それゆえに組織戦略、組織デザインについての本は定期的に読み続けています。最近は積ん読もたまっちゃっていて悩ましいところ...

で、最近読んだ人事組織関連の本で良かった本があるのでご紹介します。それが、マッキンゼー元東京支社長の横山さんという方の「組織」という本。

メドレーCTOの平山が推薦していたのをきっかけに読んだんですが、「組織を変える目的は、人の行動を変えること」だという、ある意味言われれば当たり前のことだけど、組織作りをまさに今実践している人にとってはこれほどクリアに整理できることはない指針からスタートする。

内容は、コンサルの方が書いた本だとどうしても理屈先行的なんじゃないかという先入観が入りがちだが、むしろ逆で生々しく、具体的で、それでいてコンサルであるがゆえに多くの事例に基づいた網羅的な解説が展開されている。これも同様に今日から即実践可能なことが多い。

また、建築のバックグラウンドから、随所に街の作り方と組織の作り方の類似性を解説している点も面白い。例えば「組織を隅から隅までデザインしてはいけない。」という章では、ランドスケープ・アーキテクチャーのデザイン手法として、複数の建物間の移動経路を最初からデザインせず、人々が自由に移動する「踏み分け道」ができるまで待って、後から道をデザインするという方法について言及し、隅から隅まできちっとデザインすると、かえって自律的な展開を阻害し、自己調整能力ができ上がらなくなる、もろくなる、という話をしている。都市も組織も常に動的に変化しているので、その時点やある一時点の未来において最適なものを静的にカチッと決めてしまうと破綻しやすい、というお話。

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他にもたくさん良いポイントがあるんだけど、「性善説」でも「性悪説」でもなく「性怠惰説」に基づく組織をデザインせよ。という言葉がものすごくしっくりきた。人の中には必ず善も悪も同居していてどちらか一方だけっていうことはないと思うんだけど、人の特性的に「怠惰になりやすい」ということだけは確かに間違いないと思うので、そこのフォーカスして組織をデザインしようというもの。怠惰になりそうな時、そうならないようにするようなガイドができる組織を作ろうという話で、かなり腹落ちしました。

・「優しいが実は冷たい」組織ではなく、「厳しいがどこか暖かい」組織を志向する。
・組織ごとに異なる「体内時計」は、能力差につながる。
・都市デザイン同様、組織においても「ミニ・プラン」アプローチが有効である。(マスタープランは人智を超えている)
・問題意識では人は行動を起こさない。「いつまでに」という時間軸を持たせて、危機意識に昇華させる。
・組織図をいじることが組織デザインだと、勘違いする人が多すぎる。
・「コインの裏返し」は戦略ではない。
・「アジェンダ・シェイピング・リーダー」(課題設定・形成型)を育てる。

など、いくつもの実践的な金言が詰まっています。オススメ。

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