部下がモヤモヤを打ち明けてくれた話。

私が受け持っている課が所属している組織にはもう一つの課があります。

つまり私のチームと並列でもう一つのチームがあります。よって、組織としてみると、職制は次長、隣の課長、私という3名になっています。

我々は課が分かれているものの、同じ事業企画という業務の中で役割を分担しているので、基本的に同じ最終アウトプットに向けて連携しています。よって、チームメンバーも2つの課をまたいで業務の変更を行うことがあります。

今回、我々のチームの最ベテラン(と言っても20代ですが)が部外に異動することとなり、玉突きで担当替えを行うことになりました。二つの課をまたいで都合5人が動いていくことになるので、一人ひとり順番に呼び出して説明をしていきました。

私のチームから隣のチームに異動する場合、私が背景と期待の説明をして、そのあと隣のチームの課長(すなわち新しい上司)が具体的な新しい業務の説明をします。基本的に、次長、私、隣の課長という3名で議論して、一人一人の能力やキャリアを考慮して決めていますので、それを踏まえた説明をしていきます。

一通りのメンバーに異動の説明が済んだ後、私が毎週定例で設定している1on1の際に、あるメンバーが不安を打ち明けてくれました。

・いろいろな業務を経験させてくれるのはありがたい。
・会社にとって重要な事業に関わらせてもらえるので、自分にとってチャレンジと思っている
・頑張りたい気持ちは強い。でも、、、
・あまりにも業務が多すぎないだろうか?ルーティンもあって、さらに特別プロジェクト業務もあって、いきなり全部が回るとは思えない・・・
・新しい業務が具体的に何物かわからない。でも少なくとも前任者はたくさん残業していた。そのまま私に渡されるのだろうか。。。
・本当に職制の人は業務のボリュームも考えてアサインを考えているのか不安。

など。不安が膨らんでいるようです。
私はなるほど、と言って聴いていました。

この話をしながら、「決してやる気がないわけではないんです。でも、不安なんです、こういう風に言える相手は課長しかいないので」と言ってくれました。この話をしてくれてありがたいなと思いました。話してくれたことに感謝です。

そして今日、隣の課にいる別のメンバーから、ちょっといいですか、と言われて個室で1on1をしました。
彼も同じ不安を話してくれました。普段から話す間柄とはいえ、私は彼の直属の上司ではありません。でもこういったモヤモヤを話してくれました。
そして、「この話、次長や(彼の今の)課長にしてもいいんですが、正論で言い返されるだけだと思うので言えないんですよね」とのことでした。

確かに、各メンバーのキャリアを考慮して決めていますから、その業務にチャレンジすべき理屈はあるんです。チャレンジだから今できなくて当たり前。でも、そんな言葉だけで前向きになれるほど単純ではないですよね。だって一人一人はわかっていますから。理解する能力くらいあります

でも不安なんです。

私に話してくれましたが、私が次長に直談判していきなり変わることがないのも彼らはわかっています。私も答えを持っているわけではありません。

でも話してくれました。
なぜ私に話してくれたんだろう、と思って考えてみました。
私が普段気を付けていることを振り返ってみると、以下がポイントかもしれない、と思いました。

1.とりあえず話を遮らず最後まで聴くということ
2.正論は言わないこと(そんなの言われなくてもわかってるから)
3.相手の「気持ち」に同意すること(正しいか正しくないか、ではなく、「不安だという気持ち」に同意する)
4.小さな一歩を提案すること

一つずつ。

1.とりあえず話を遮らず最後まで聴くこと

よく言う1on1の基本ですよね。でも、やっぱり意識しないとできない。私も口をはさみたくなってしまいますがグッとこらえています。
ここでのポイントは、「口を挟もうと思ったことを全部メモしておく」です。相手の目を見て聞いてあげたいので、目を切ってメモするのは最小限にしたいところですが、忘れては何にもならないので、単語で走り書きするようになりました。

2.正論は言わないこと

みんな賢いですから、正論はわかってるんです。そんなこと言っても上司の自己満足もいいところ。1on1でマウント取っても意味がない。解決にならないどころか部下をがっかりさせてしまいます。ダメ絶対。

3.相手の「気持ち」に同意すること

不安や不満の理由が勘違いや、間違った解釈からきていることもないわけではありません。そこは修正すべきところです。でも、その前に、まず相手が言いたいのは「不安だ」ということです。その理由は誤解からきているかもしれない。でも、「部下自身が不安だと思っている」というのは紛れもない事実です。まずはその事実を受け入れることです。「なるほど、不安なんだね」という、それだけのことですが、ここが大事です。

4.小さな一歩を提案すること

みんな賢く、正論を理解していますし、組織の事情も分かっているので、自分が不安だと思っている理由や事象が急に変わることがないことも知っています。
私に話して少しは気持ちが和らぐかもしれません。でも、周囲の環境は何も変わらない。これではまた不安が襲ってきます。ですから効果の大小は置いておいて、何かしらのアクションを取るように促すべきです。
たとえば、「実務作業を全部書き出して、不安な作業リストを作ろう」とか、単純なことでもいいと思います。不安を具体化すれば、100%解決しなくても、少しは前が明るくなります私と話した後に、何らかの行動をとる。それで1on1の価値が上がります

私は普段の1on1でこのように会話をしています。部下に聞き込んだわけではありませんので、これが今回話してくれた理由かどうか定かではありませんが、決して外れてもいないのかな、と思っています。

上司としては、話を聞いただけではダメで、然るべき解決策を検討せねばいけませんが、少なくとも部下が話をしてくれなければ気づかないことがたくさんあります。

部下から話をしてくれるように持っていけつつあるのかな、と少し自信になりました。日々改善して、信頼関係を構築していきたいと思います。


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