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『由』という漢字を誇らしく思っている


いつもの私なら、絶対家にいた。ガゾリン代が160円台だし、給料日前だし、そもそも夕方から雨予報だし。どう考えても旅日和じゃない。

それでも110円の手数料に目を逸らして銀行でお金をおろした。ガソリンを満タンに入れた。最近買ったお気に入りの傘を持ってきた。

日曜日、ドライブがてらに山口県長門市まで走った。家から4時間半。日帰り。久しぶりの、ひとり旅。


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いつものお出かけなら家より東や南のほうに進む。松江、米子方面。広島、岡山方面。もっと遠くへ行くと、神戸、大阪方面。

けどこの日はどうしても西へ行きたかった。知らない街と知らない人だらけの街。そして大好きな日本海を見ながらドライブをしたかった。


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人と話すことが好きだ。けれどそれ以上にひとりの時間が大好きだ。

「きゆかって初めて行く場所でも、どこでもひとりで行けるよね。すごいな。」

よく言われる。これは果たしてすごいことなのか。

たしかに、友達や恋人を誘うであろう夏フェスに行った。入り口が暗くて扉を開けづらい焼肉屋に行った。景色がきれいな無人駅を鈍行列車で6時間かけて行った。仕事帰りに電車で京都まで行って夜行バスで富山へ行った。深夜2時に起きて伊丹空港に行って早朝に青森へ行った。全部ひとり。思えばすごいことなのかもしれない。


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学生の頃から、好きなときに好きな場所へ行き、好きなときに家に帰る時間の使い方に憧れていた。

「ここ行きたい!」わがままだった私は、よく父親に言っていた。文句も言わずいつも色んな場所へ連れて行ってくれた。嬉しい反面、申し訳なく感じていた。親とはいえ、他人の自由な時間を奪っているんだろうなあと目を瞑っていた。

「9時が始業時間です。」快適な集合時間は人によって違うのに、なぜみんなと一緒の時間に仕事を始めなければならないんだろうとずっと思っていた。だから私は、出社時間を自分で決められるフレックス出社制度を取り入れた会社に転職した。


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ゆかの『ゆ』は、漢字で、自由の『由』と書く。『自由にのびのびと育ってほしい』という意味を込めてこの漢字を使ったと父親は言っていた。

田んぼの『田』の上を突き出しただけの漢字に、昔は『ダサい漢字』だなと思っていた。もっとカワイイ漢字ってあるじゃん。『優』とか、『結』とか、『悠』とか。

でも今ならすごくわかる。

『自由』という言葉がどれだけ『私らしく』いられているか。私らしくいられることで、どれだけ心が救われているか。

だから私は『由』という漢字を誇らしく思っている。

きっと父親の想像以上の自由な人間になってしまったけど、好きな人と好きな場所で過ごせて、行きたい時間に行きたい場所へ行っている。全部自分が自由に選択したもの。これは私が小さい頃から望んでいた、理想の人生である。


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ここ数日間落ち込んでいた。

学生までは、落ち込んでいたらとりあえず泣くか、文章を書くか、友達に相談するかみたいな少ない選択肢しかなかった。

現在はたくさんの選択肢のなかから、自由に自分の機嫌を取ることができる。

そのなかのひとつが、車でひとり旅すること。

自由は楽しい。自由は1番私らしさを出せる時間。

これからも、自由な時間を大好きでありたい。


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