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負けてこそ咲く花

音楽を流しながらお読み頂けたら幸いです。
動画をスワイプすると流しながらお読み頂けます。

小学校からそいつとは友達だった
生まれながらの脳性麻痺な彼は
涎をいつも流していた

当時住んでいたのは団地で
隣の通路の1Fに住んでいた

俺はサッカー少年で
土日を含め週5で
結構ハードだったけど
休みの日はいつも
彼の家でファミコンをする

きっと脳性麻痺な息子のため
友達を呼ぶために
色々ゲームソフトを集めたり
おばさんの手作りお菓子は手厚い

小学校も高学年になるころ
やっぱり彼は涎をたらしたり
歩くのもやっとで避けられていた

俺は彼が大好きだった
馬が合うという言葉あるなら
まさにそれだった
おばさんに言われたことがある
友達でいてくれてありがとうって

何だか申し訳ないような
嬉しいような別に当たり前のような
顔の作り方がわからなかった

みんな彼を差別するなよ!!
みたいに叫んだ事はない
そんな事を言うほど彼と
遊ぶことには違和感なんか覚えない

涎は拭けばいいのだし
サッカーの練習で水が与えられず
コーチの目を盗み平気で泥水をすする
そっちのほうがよっぽどだ(笑)

話し言葉がおぼつかないとき
彼は手紙をくれる
それを見ると
知らない言葉や漢字がいっぱいで
その知識をいっぱい教えてもらった

体育以外で勝ったためしがなく
なんだかそれが凄く恥ずかしいと思った

中学も一緒で高校も一緒で
大学は違ったけど

彼は理系に進み
俺はわけのわからない文系で

彼のお父さんはプログラム会社を
小さいながらに運営していた
後から聞いたら
息子を思い一緒にいるため
独立して成功したそうだ

今は彼が会社を引き継ぎ
社長をやっている
経営も安定している
その日暮らしの俺とは大違い

そんな俺の彼に対する思いは
尊敬しかない
だから彼はいまだに
遊んでくれるのかもしれない

彼が体が不自由なことを
殆ど話したことはない
小学校1年生のときに
おばさんに聞いたくらいで

大人になって1回だけ
彼とそんな話になったことがある

自分がもし五体満足だったら
人に感謝を覚えなかったかもと
だから感謝していると
さり気ないにも程がある爽やかさで
つぶやいて

俺は男だけど惚れてしまった
その言葉は俺の中で
あんまりにもまぶしくて
感動していることさえ忘れるほど
感動してしまった

神様は時にとても意地悪な試練を
突然誰かに対して振りかざす。
どうしても自己肯定感が低くなるような
瞬間がまっていて

それは失恋かもしれないし
大切な人の不幸かもしれないし
どうすることもできない不可抗力に
一瞬で色のない世界にいくこともある

その大小は様々だけど

苦しさを感じるとき
どうしても取り残された気になり
世の中を呪う瞬間はある

だけどこうも思うのさ
生まれながらの彼でさえ
それを克服したとき
誰よりも眩しい光を放っていた

今の苦しさや悲しさは
必ず打ち返せる時がきて
人の痛みを知る事ができたなら
誰よりも素敵な花を咲かせる

『負けてこそ咲く花もある』
これは彼が教えてくれた言葉なんだ
体育以外では彼に勝てることはない

お前は負けたやつじゃないよ
勝利者だ。

あなたが辛いと感じるとき
その花は開花の時をまっている

とても綺麗な花だから
簡単には咲かないだけのこと

あなたがそれでも
前に1歩踏み出すなら必ず咲くよ

オンリーワンという言葉は
1位になれなかったものの逃げ口上ではない
No1より圧倒的に尊いとき
世界に1つだけのとても
美しい花が咲くのだと思うんだ

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