見出し画像

二眼レフ(海鴎seagull 4B-1)を下げて

「フィルムカメラに嫌われている」
心を涙で濡らしながら書いたこの記事。読んでいただいた方、ありがとうございます。

この記事のタイトルには何ら誇張は無く、実際泣いた後にこの記事を書いた。つまり読んでいただければわかるように、私はフィルムカメラで失敗ばかりしてきたのだが、そんな記事を発表した次の日、棚から牡丹餅が落ちてきた。
なんと、母の友人から、使わなくなった二眼レフを貰ったのである。

それがこちら

ピン写

中国上海のカメラメーカーだったと思う。海鴎(seagull)の二眼レフだ。

おわかりだろうか?フィルムカメラである。

しかもこのカメラ、全て手動だ。
ピント合わせも、シャッタースピード、F値の設定も、全て手動である。
そして私は、まだ写ルンですでしか成功したことがない、「フィルムカメラに嫌われている人」である。

果たして映るだろうか。
今までの失敗は、フィルムをうまく入れられなかったなどの原因もあるが、単純にカメラが壊れていたとか、買ったばかりなのになぜか壊れたとか、そういった原因もある。災難は常に予想しえない。
今回のフィルムカメラも中古品なので、十分に注意し、期待は最小限にし、かすかな希望にとらわれんとする自分を華麗にかわし、ネットで使い方を調べることにした。

ネットの情報はかなり少なかったが、他の二眼レフカメラの情報も参考にし、カメラの周りにくっつくあらゆるダイヤルやレバーの意味を確認した。勉強後、フィルムの入れ方も確認し、慎重に入れる。最初に巻く時間がかなりあって緊張したが、ピントフードを起こし、ファインダーを覗いて思わず声を上げた。
二眼レフはその性質上、首を下に曲げて真四角のファインダーを覗く姿勢となる。眼下に広がる四角い世界が、なんだか眼前に存在しているのではなくて、ファインダーの中で完結しているように思えたのだ。
二眼レフの見た目もあいまって、ファンタジーのようだった。

そして今回使用したフィルムはこちら

箱も映せばよかった

ごらんの通り、よくあるフィルムではなく、中判フィルムと呼ばれるフィルムだ。詳しいことはわからないが、二眼レフではこのフィルムを使うらしい。

そんな中判フィルムの中で購入したのが、lomographyのLomoChrome Metropolis
なぜこれにしたのかと言うと、理由は一つ。単体で売っている中判フィルムの中で、1番安かったからである。
今回の撮影はあくまでも映るかどうかのお試し。中判フィルムはほとんどが何本かのまとめ売りで、無難にFUJIFILMが良かったのだが、1個売りをしていなかった。そんなわけでこのフィルムにしたのだが、ネットで調べた様子では彩度が低く、コントラストが強く、何だか随分癖がありそうだ。しかもこのフィルム、ISO感度100から400まで、カメラで設定して撮影が出来るらしい。フィルムに無知な私にとっては意味不明だし、だいいちこのカメラにはISO感度を設定するところがなかった。一体どう映るのやら見当がつかないが、物は試し。

あいにくの曇りだったが、自転車に乗って出かけることにした。

京都、鴨川近くのお寺には形の綺麗な枝垂れ桜がある。ちょうど一部が咲いており、撮影した。

綺麗にピントが合っている

一体どう映るのか、そもそも映るのか。
そんな心配は杞憂だったらしい。フィルムらしい色合いで、くっきりとピントが合っている。桜の淡い色はほとんど無視されているが、仕方がない。

ただ、どうもこのカメラも、完全に正常ではないらしい。ピントを調整しようとダイヤルを回しても、全く変化が無く、1か所にピントが合ったままなのである。この写真は良い塩梅の距離に被写体を配置できたので、綺麗にピントがあったが、構図は限定されてしまうようだ。

そしてお寺を後にして、鴨川へ。

飛び石のご夫婦を撮りたかったのだが…
狩り中のアオサギ

早くも失敗。フィルムカメラは撮るたびにフィルムを巻く必要がある。だが、このカメラは巻かなくても撮影できてしまうのだ。心霊写真(アオサギ)が誕生した。
2枚目のアオサギ写真は、ピント調節できていれば…と悔やまれるが、悪くない。

南下し、木屋町通へ。木屋町から先斗町を見る。

夜に賑わう場所

三条通りを西へ向かう。商店街の屋根で暗く、映るか不安だったが、綺麗に映っている。フィルムの色味に似合う素敵な服屋さん。

古着屋さんかなあ…

京都文化博物館

時々なんか売っている

近くにあった服屋さんで、ショーウィンドウを利用してみる。

鞄のボケ具合が気に入っている

そして六角堂へ。撮影した時は3月17日だったが、早い桜が満開だった。

海外の方も嬉しそう

桜の写真となると、やっぱりフィルムの特性である彩度の低さが悪影響を及ぼしているように思える。色褪せている方が思い出に近くて良いという話を聞くが、思い出もこんな色褪せることなくない?と私は思ってしまう。好みは人それぞれだ。

境内には鳩がたくさんいた

左に明るさを合わせることで、屋外にある右側が白飛びしているわけだが、なんだかそのとび具合が自然で気持ち良い。くっきりとしたコントラスト、中間に位置する「堂」という字がうまく浮き上がって映っているのも、綺麗な対比構造を作り上げているような気がする。

最後は烏丸通りへ出た。電話ボックス越しに工夫できないかと考えたが、うまくピントの合う対象物が無かったので、不思議な写真になってしまった。

こんなはずでは

他にも知り合いのポートレートなど撮っているが、ネットなのでこれくらいで。

何度でもいうが、私はまだ写ルンですでしか成功したことのない、「フィルムカメラに嫌われた人間」。そんな私がオールマニュアルの古いフィルムカメラ、何も起こらないはずはなく…と思っていたが、概ね何も起こらず、郵送されてきたネガを見た時は歓喜の声を上げた。
黒くつぶれたり、白く飛んだりして、何を撮ったのやらわからない。または、カメラは動いているけれども、致命的な故障があって、映ることはできない。あるいは、フィルム関連で何らかのミスがあった。もしくは…様々な、不幸な巡りあわせがあると思っていたからだ。

遂にフィルムカメラが私に振り向いてくれた!そう思って大喜びしたが、この後再び失敗することになるのは、また別の話…(この経験があるので、この記事のテンションも低い。綺麗に映ったのに!!)

癖の強いフィルムだったが、それもそれで面白い体験になった。色々と不便さや壊れているところ、コスパの悪さとか、デメリットはあるけれども、良い縁をプレゼントしていただいたので、大切にしていきたいと思う。ありがとうございます。

ではこれくらいで

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?