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上海ディズニーランド運営再開から学ぶアミューズメント施設の感染対策

5月11日から運営再開した上海ディズニーランド。世界のディズニーランドでは一番最初に運営を再開したパークになります。

運営再開にあたり、上海ディズニーランドはゲストに対してチュートリアル動画をリオープン前に公開。

これに関してはDオタたちのメディアWDW News Todayでもまとめられた記事が公開されました。

今回は、この英語で発信されているものを私個人的な考察も加えて日本語で発信し、日本におけるアミューズメント施設・テーマパークが運営再開に向けてどのような対策をすればいいか、上海ディズニーランドの対策から学んでみたいと思います。

対策は大きく分けて3つ:
■入園人数制限、個人情報の把握、
入園前検温
■ソーシャルディスタンス(三密回避)
■コンタクトレスな支払いや購買マナーのお願い


■入園人数制限、個人情報の把握、入園前検温

まずは入園人数の制限です。入園人数を約20%までにしたそうです。
上海ディズニーランドのキャパシティは8万人で、中国政府からの制限は30%とのことでしたが、約20%の24,000人にされたそうです。

20%で赤字にならないの⁈という心配がありますが、ただ閉めているよりはましかもしれないです。というのも、例えば東京ディズニーランドは年間の入場人数を公開しているのですが(18年度は約3255万人)、それを単純に365日で割ると1日当たりの平均来場者数は8万人になります。東京ディズニーランドのキャパシティも上海と同じく8万人で、7万人を超えると入場制限をかけるそうです。そうすると、上海の24,000人というのはおそらく東京の閑散期や平日の来場者数と感覚的には変わらないのかもしれないです。


そして入園前の検温です。動画にもあるように、入園前に体温を測っています。荷物検査のテントみたいなものを再利用しているっぽいです。

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最後に個人情報の把握です。ゲストには入園前に「Health QR Code」というものをレジスターするように求められており(緑のものを提示しないと入園できないみたいです)、かつ、国政府が発行している身分証明証(IDカード)の持参も必須となっています(本人の入園徹底してますね)。チケット購入の際には名前と連絡先の登録も求められています。

参照元はこちらのプレスリリースから(英語)


つまり、入園前の段階で、①ウイルスを持っていない人(Health QR Code)であり、かつ連絡先がわかるゲストを、②彼ら同士での感染が発生しないよう24000人という人数に限定して受け入れ、かつ③入園前に全員の検温もするという、3重構造にしているのがわかります。トリプルフィルターです。


■ソーシャルディスタンス(三密回避)

入園後も、ゲスト同士の三密を避け、感染予防に取り組んでいることがわかります。ディズニーランドの対策としては以下3つに分けてみましょう。

①アトラクション(キューライン・ライド・ショー)
②キャラクターグリーティング
③食事

まず①アトラクションです。まずは待っている間の列、キューラインです。エントランスでは、このように目に見えてわかりやすい表示をつくっていました。

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アトラクションでは表示ができないところではキャストが指示を仰いでいました。個々人が距離を取るようにするのではなく、一緒のグループと、別のグループの距離間隔を離すように指示をしていました。

上の写真はカリブの海賊の映像ですが、1列間をあけています。ライドの間隔も空けているようです。2.4万人のゲスト数だと、日本ではライド貸切にしたりすることもありますよね(イッツアとかカリブとか)。

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こちらはBBCニュースから。こちらも1台に2人ずつのみですね。

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間隔をあけるように指示をあおるキャスト。声を掛けるだけではなくこうした表示を持っていることで、キャストの口からの飛沫感染も防げます!

また、アトラクションから出るときには、必ず消毒液を手にするように指示をしています。キャスト側の取っ手などの除菌対策だけでは間に合わないこともあるかもしれないので、ここでダブルガード

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次に②キャラクターグリーティング(以下キャラグリ)

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ゲストが手を振っていますが、橋の上にキャラクターがいますwエントランスではこのようなグリーティングをしたようです。

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こちらはBBCニュースから、ジャックスパロウとのグリーティングでは、地面に黄色く四角で囲まれたエリアでキャラクターと会話。ハグができなかったり、近寄って写真は撮れないですが、こうして大好きな推しキャラと会えるだけでもゲストは満足&元気をもらえるかもしれません。


最後に③食事です。

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レストランでは、上の写真のようにカードが置いてある机は使用禁止。おいていないところで食事をとるように指示が出ていました。机を撤去すればいいじゃんという話ですが、パークの机って、固定されていたりすることもあるんですよね。また、動かしたとして、どこにおいておけばいいのか、世界観を崩さないために、この対策をしているように思います。


ということで、「密です!」を避けるために、また、ゲストに不快を感じさせないように、を意識しながら、
①アトラクションのキューラインでの地面での表記、キャストの持つパネルでの間隔開けの指示、ライドでの間隔あけ、アルコール消毒の設置
②距離を保ちながらもキャラグリの実施
③食事スペースの工夫
でエンターテインメントを提供していました。


ちなみに、ゲストにはマスク着用をお願いしており、パークから出た後にそのマスクを捨てられるごみ箱を専用で設置しているようです。

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パーク内でマスクに付着してしまったかもしれないウイルスを、パークのごみ箱で廃棄する。なるほど。


■コンタクトレスな支払いや購買活動マナー

最後、コンタクトレスペイメントです。

ディズニーランドの利益は、1人あたりの入園中のパーク内での消費(お買い物)も非常に大切なところです。食事代だけでなく、お土産などのお買い物です。24000人しかゲストが入れないとしても、パーク内でお金を使ってもらってほしいですよね。

こちらは東京ディズニーランドの入園者数と単価の表ですが、お土産などである「商品販売収入」やポップコーンやドリンクなども含む「飲食販売収入」だけで、チケット収入よりも少し多い割合(金額)を占めています

お客さんがあんまり入らない日でも、パークの中で沢山お買い物をしてくれたら、なんとか運営が回るんですね(たぶん)!

特に今回イースターイベント開催中に運営再開した上海ディズニーランドでは、おそらくイースターイベント関連グッズが今しか買えないのでゲストたちは購入に走ったのではないでしょうか…

そんな中で、上海ディズニーランドが取った対策は①コンタクトレスな支払い②購買マナーのお願いです。


まずは①コンタクトレスなお支払い。要は硬貨や紙幣で手渡しでキャストさんにお支払いをするのではなく、スマホなどでの決済をすることです。中国は日本と比べてもキャッシュレス文化が浸透しているので(パーク内も同様)、ここに関しては特に問題なさそうですね。

例えば、銅(10円玉)はウイルスの最大残存時間は4時間と言われているそうです。正確なデータはまだ出ていないそうですが、参考までに⇓

私が留学していたアイルランドでも、流行しだした時に一気に「現金での支払いはご遠慮ください」とお願いする表示をあちこちのお店のレジで見かけました。

硬貨や紙幣に限らず、キャストさんとの素手での接触は間違いなく発生するので、コンタクトレス=キャッシュレスペイをお願いするのは妥当ですね!

ちなみに、東京ディズニーリゾートではQUICKペイ、iD、交通系ICでの支払いが可能だそうです。


次に②購買マナーのお願いです。動画でお願いされていたのは一度触った商品を元に戻すのを避けてください、ということでした。

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これは日本でもスーパーなどで表示を見るので日本人にも導入は安易にできると思います。が、お人形さんは一匹一匹微妙に顔が違うので、しっかりと手に取って自分の好きなお人形さんを購入したいゲストには辛いお願いになりますね…!顔の表情がしっかりと見える陳列が大事になりそうです。

また、オンラインでの購入も日本のディズニーリゾートではできるので、お店に寄らないでオンラインで購入という手もあり。こちらをゲストにアナウンスし、オンラインでの購入を促すのも対策としては良いかもしれません。



さいごに:パリでも再開に向けた動きが

本日5月13日の日本時間の朝に、パリも運営再開に向けた動きがあることをWDW News Todayが発表しました。

Executives=役員です。役員の方たちが7月中旬の運営再開に向けてガイダンスを受け始めた、という報道です。どのような対策を取るのか、興味深く追っていこうと思います…。


上海ディズニーランドの対策をまとめると

■入園人数制限、個人情報の把握、入園前検温

→ウイルスを持っていない人を①人数を絞って②検温のうえ入園させ、万が一感染が発覚した時に③連絡が取れるように連絡先を控える3重構造(かつマスク着用必須)

■ソーシャルディスタンス(三密回避)

①アトラクションでは間隔徹底、キャストが接触・声掛けをしなくても感覚が空けられるようなサインつくり、②キャラクターグリーティングでは接近できる距離を明確にするラインを地面に表示、③食事は机にサインを置くことで景観を壊さず間隔をあけて実現

■コンタクトレスな支払いや購買マナーのお願い

→キャストとの接触を減らすためのキャッシュレスペイメントのお願い、一度手に取ったものを元に戻さないお願い(+そのためにフェイスがしっかりと見える陳列が大事なのでは)

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基本的に完全屋外なテーマパークなので、室内のサンリオピューロランドやキッザニア、シアター系アトラクションが多いユニバーサルスタジオなどは、また少し異なった対策が必要になってくるとは思いますが、こうしたディズニーランドという代表的なアミューズメントパークの感染対策の知見が、他のアミューズメント施設にもシェアされ、各施設が徹底した対策の素少しずつ運営再開していくことを願います><


早く日本語訳でも情報が出ればいいのにと思い、素人ながらに発信してみたnoteでした。

以上です!


サポートお願いします!><

私がこのnoteを書いた理由は、本当は5月からフロリダのウォルトディズニーワールドで働く予定だったからです><早く開園&運営再開してほしくて、情報を取りまくっていたので、日本語でシェアしようと思いました。

こちらの1年間の就労プログラムに無事参加できることになったのですが、もちろんこの騒ぎのため渡米は延期。したがって、日本で働いていた会社もすでに辞めてしまった状態なので、現状、無職・無収入なんです。

いつパークが再開するかわからないので、不透明な状態が続き、短期の仕事も今時なかなか見つけられず、特別定額給付金を待つことしかできません

また、渡米の際に保険に加入するため20万円を支払わないといけないのですが、このまま開園見合わせが続くとその20万円すら払えなくなってしまいそうです…。つまりプログラム自体に参加できなくなってしまう…

もしこちらの記事が少しでも参考になっていたり、面白いな、と思ってくださった方がいたら、サポートいただけると、渡米を待っている間の国民健康保険料と国民年金の支払いができるので、とても、ありがたいです…!

ウォルトディズニーワールドが運営再開して、私も無事渡米し着任出来た際には、パークに遊びに来ていただければお礼にご案内いたします!!

どうぞ、よろしくおねがいします!



それでは、これで本当に今回のnoteは終わりです。
ありがとうございました!

こんな私ですが、ぜひサポートお願いします。 いただいたサポートは、自分に沢山の学びと気付きの機会を与えてくれた人や団体、そして社会に還元していきたいです。