小説 空を見上げれば(上)29
こんばんは。小説家の藪田建治です。
今日は夜勤から帰ってきました。明日和菓子を多く食べるのが楽しみです。和菓子が好きです。洋菓子も良いのですが、個人的には和菓子が好きです。
みなさんはどうですか?まあ結局は美味しいものであればどちらでもということですが。
さて小説をアップしていきます。
「美佐そっちはどうだった?」
「見つからないわ。駅前だけじゃなくて、孝太が行きそうな場所はどこも探したけど見つからなかった。事件に巻き込まれたなんてことは・・・」
「冗談じゃない。孝太を巻き込むようなやつは俺が殺してやる。こっちもいろんな場所を当たってみたけど、どもにもいなかった。本当にどこに行ってしまったんだ。有紀からも連絡はないんだよな?」
「ないわね。有紀も手当たり次第連絡してくれただろうけど。でもまだ連絡は無いってことは、何も情報がないってことでしょ。」
「そうか。」
いよいよ見つからなくなってきた。どこに行けば見つけられる?どうすれば助けられる?気持ちだけが焦って、思考が停止してしまいそうだ。こうしている内にも孝太に不幸が来ているかもしれない。
「例えば小学校の時に練習していたグラウンドや中学の時に走りこ込んでいた川沿いの道も当たってくれないか。俺も隣町の方を探してみる。」
「分かった。」
どこを探してもいなかった。結局朝方まで探しても見つからなかった。途方に暮れ、疲弊し切った表情で2人は家に着く。自分達が費やした時間よりも孝太が帰らないという事実に心身ともに消耗し切っている。
「美佐、今日仕事だろ。眠れないだろうけど、少しでも横になった方が良いんじゃないか。」
「そうね、そうするわ。でも孝太が・・・」
「孝太は何事も無かったようにひょっこり帰ってくるだろう。」
「そうね。今はそうやって信じておこう。」
そう言ってベッドにもぐったものの、孝太への心配は尽きない。今はまだ9月だから寒さはない。でもわが子がどんな状況にいるか分からないのに、心配していない親などいない。
もし子供がいなくなれば・・・。親はいつまで経っても、わが子を探す。探す当てもない。それでもどんな小さなこと、見当違いなことでも自分の子供がもしかしたらそこにいるかもしれない。
藁にもすがる思いで探すことだと思います。それが親なのではないでしょうか。自分の子供、それは自分と同等いやそれ以上に大切な存在。多くの親はそう考えていると思います。
最後の部分は見つけられなかった悔しさ、自分への不甲斐なさを痛感する。心身ともに文字通りボロボロです。でもそれ以上にわが子への心配、無事であって欲しい願いがある。
そんな親の気持ちをここでは書きました。
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