見出し画像

2:男女関係において、"無自覚"は罪であること

「沼る」
とは、いつのまにか自分が思っている以上に夢中になったり没頭してしまっていること。
https://ftnews.jp/_ct/17492018

「俺が沼?沼って何?」
他にお客さんの居ない韓国料理屋で、沼の自覚を持った方がいい、と彼に言うと、こう聞かれた。
私も、改めて考えてみると定義が難しいと思い、調べて画面を見せた。

「そういうのじゃなくて、沼ってどういうのだと思う?」
彼は私の考えを求める。
それは嬉しい事だった。

「この人は私にとって特別な存在なんじゃないかな、って思う事があるじゃない?そうなると沼っていくかな。私は、(笑)」

今考えると、答えになっていなかったかもしれない。
でも彼はこう言った。

「俺は結構、特別だと思ってるけどね、あなたのこと。」


私もだ。
この人は本当に沼だ。

今日は1週間ほど前から遊ぶ約束をしていた。

12時に会って、はじめに魚べいに行った。
彼は偏食で、ハマチとえんがわを3皿ずつという、変な頼み方をしていた。他にもいろいろ食べた。
私はマグロといくらの軍艦と、えび天のカリフォルニアロールを食べた。
画が可愛くて写真を撮ったら、彼は子供みたいと笑った。

次に商業施設の中にあるROUND1のボーリングに行った。
合計8ゲームもした。彼とは力の差がありすぎて、40点差を貰って賭けでゲームをした。
賭けの内容はドリンク代、クレーンゲーム代、次も私と遊べる権利、と続いていった。
熱戦だった。
ボーリングが終わったのは16時半頃だ、はしゃぎすぎて2人とも疲れた。

その後、クレーンゲームの回で負けた彼がカービィの小さいぬいぐるみを取ってくれた。
服屋と、雑貨屋を見に行った。

18時半頃、車に戻ろうとしたら、雨が降っていた。私の車だったので、迎えに来るからここで待っててと言った。
私が車の場所を遠目で探していると、彼が私のカバンをもぎ取り、コートの中に入れて、私の腕を掴んで走った。
約100m、走った。
車に入り、息の上がった2人は笑った。
カービィは助手席のサンバイザーに引っ掛けた。好きなわけではなかったが、揺れるカービィがすごく可愛かった。

あまりお腹が空いていなくて、車の中でインスタのストーリーのアーカイブを永遠と見ながら、どこに食べに行くか話した。

ラストオーダーの20分前に、近くの 古民家系 韓国料理屋さんに入った。
傘をさしてくれたから、近づいて歩いた。
お互い好きなビビンバを選んで、キムチチヂミを頼んだ。
美味しかった。量が多くて、食べ過ぎた。

彼に思いを抱いて居る子が他にも居て、ビビンバを食べている時その子の話をしていた。

最初の会話はこの時だ。
彼には沼の自覚も、その子に対する情もなかった。
それは罪だと思った。
その子と遊ぶ時にも、ペアリングをつけて行くべきだ。聞かれないから、という理由だけで、彼女が居ることを言っていない。

彼女の存在を知らないその子は悪くない、それはあなたが悪いよ…とだけ言った。

その子の存在を使って、私の気持ちを代弁してもらっているのは、私が悪いかもしれないけれど。

20時の閉店時間ギリギリに帰って、車の中で1時間以上喋った。
距離がとても近かった。
車の外は雨が降っていて車内が寒かったから、彼がコートを私の膝に掛けてくれた。
前髪似合うね、と言って頭を撫でてくれて、食べすぎて眠いと言ったらシートを少し倒してくれた。
私には情があるようだった。そう言われた訳じゃ無いが、それは分かる。


ふと、彼の右手の薬指を見る。


''なんで今日、ペアリング付けてこなかったの?''

前に会った時は付けていた。
たまたま忘れただけ、と言われるのが怖くて、聞けなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?