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上達の近道と、マネの落とし穴

為末大『熟達論』を読んでいます。


素晴らしい選手たちのいい部分だけを取り入れていければもっと良くなるはずだと手当たり次第に取り入れた。そこでスランプに陥った。今考えれば、基本となる一つの「型」をしっかり習得すべき段階だったのに、あちこちからいいところだけ集めようとしたことが原因だった。まだ「型」が定まっていないのに先に進みすぎていたのだ。 (P.30)


私は他の人のやり方を知ったり、マネしたりすることが好きです。

受験生時代は勉強法に関する本を読みあさって勉強時間を削ってしまうタイプでしたし、テニス部時代はYouTubeで見たうまい選手の真似ばかりする人間でした。

人のやり方をマネをすること自体は悪くないのですが、なにぶん私はひとつのことを継続できないたちで、次から次に取っ替え引っ替えマネする内容を変えていて、技術や方法を「自分のものにする」「身につける」というところに至りませんでした。

実際勉強はいろんなやり方に手を出して伸び悩みましたし、テニスに関してはイップスまで発症し、なかなかにしょっぱい経験になりました。


マネをすることは何かを身につけていくうえでよい方法ですが、自分のレベル・自分の段階にあったものマネをすることが重要だと思います。

初級者のうちから中級者・上級者と同じことに取り組んでも、自分のレベルに合っていないと身につきづらいでしょう。

中級者・上級者は、それまでの積み重ねがあったうえでその方法にたどりついたわけで、そのレベルにいない人が表面をマネても、本来の効果は得られません

よく「東大生の勉強法」「プロ選手の練習法」みたいな内容のコンテンツがあって、私も好きでよく見ていましたが、あれを鵜呑みにしてマネをするのもよくないですね。

せいぜい中級・なんなら初級レベルの人間が、上級・プロレベルの人と同じことに取り組んだからといって、上達できるわけではないのですが、それでも「すごい人がやっているから、よいやり方なんだろう」ということで盲信してしまう人は、私を含め多いのではないでしょうか。


何かを学び、成長したいという健全な欲求があるのであれば、自分自身の段階・レベルに合ったことに取り組むのが近道だと思います。実際にやるとなると、なんとなく遠回りに感じられるかもしれませんが。

この本を読んでから、自分が今いる段階や、その前後の段階を道筋として意識できるようになってきました。

すごい人たちのやっていることをマネしたい気持ちが出てきても、その人たちと自分自身のレベル・段階は異なることを思い出し、ひと呼吸おいてから、それをどう扱うかを考えた方がよさそうです。

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