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コロナ禍で生まれた高級寿司デリバリーの可能性

SUSHI+とは

SUSHI+(スシプラス)は、寿司×エンターテイメントを軸に活動している。主な事業である出張寿司サービスは「これまでにない寿司体験で心に残る想い出を。」をコンセプトとして都内を中心に展開している。

SUSHI+が正式に立ち上がったのは約1年前の2019年4月で、これまでにのべ4,000名以上に利用していただいている。会社や家に呼んでもらうだけでなく、ホストクラブ「愛本店」で主催イベントを行ったり、大使館で提供したりもしている。

計画の総崩れ

2020年はオリンピックが開催される予定だったこともあり、オリンピック関連の案件もいくつか決まっていた。さらに某ホテルへの出店の話や企業とのコラボの話も動いていて非常にワクワクしていた。
しかし、そんな中で起きたコロナショック。僕らも例外ではなく大打撃を受けることになった。入念に考えていた2020年の計画は白紙になった。

初めて経験する経営危機

1. 予約は全てキャンセル、売上見込みはゼロへ
コロナ前までありがたいことに2~3ヶ月先まで予約が入っている状態だった。それが全てキャンセルになった。異変を感じたのは3月上旬頃。明らかに問い合わせが減っていた。とはいえ、当時はここまで大変なことになるとは思っていなかった。しかし、3月中旬頃には問題が顕在化し、危機感を感じざるをえなかった。

2. 固定費が重くのしかかり、資金ショートが頭をよぎる
さすがに突如として売上が全く見込めなくなることは想定外だった。無駄遣いをせずに固定費は最小限に留めてはいたものの、それなりの額のお金が毎月消えていくことは目に見えていた。ある程度の運転資金は溜めていたが、先が見えない状況下で一気に不安が込み上げた。
「さすがにまずい...このままだと数ヶ月で資金ショートになる」
とにかくすぐに対策を考えて動かないと終わってしまう。睡眠時間を削ってフル稼働で対策を考えた。

取り組んだこと

■前提
コロナのような状況は今後も続くものとし、状況が落ち着くのを待つという考えは捨てた。どのような状況にも耐えうる体制にチェンジする必要がある。

1. コストカット
削減できるコストがそもそもあまりない状態ではあったが、家賃を始めとしたコストを一気に整理した。

2. 新たな売上の柱をつくる
- コロナ禍を前提としても成り立つビジネスモデル
- あくまで「寿司」に関する事業であること
この2点を前提に考えた。この事業が立ち上がらないと非常に厳しい状況が続くことは見えていたので必死に考えた。

デリバリーのマーケットを攻略する

その頃、飲食店ではデリバリーやテイクアウトの波が大きく動き始めていた。しかし一方で、デリバリーやテイクアウトは配達料の負担が大きく、儲からないというのが定説だった。たしかに、お店に来ていただいてドリンクも頼んでもらうのと比べると明らかに割りに合わない。

実は以前からデリバリーをやるという選択肢は持っていた。高級カテゴリーのデリバリーがガラ空きだと思っていたからだ。ただ、ニーズが限定的であって、出張が軌道に乗っていたこともあり、やる必要性がなく後回しになっていた。しかし社会の前提が変わったため、やるなら今しかないと思った。

やると決めてからは、単にデリバリーするのではなく、いかに付加価値を大きくするかを考えた。その結果、コロナ禍だからこその強いニーズが出てくると思い、そこに応えるサービスにすることにした。
コロナ禍では、以下のようなニーズが生まれると予想した。

・大切な人との誕生日や結婚記念日などのお祝いニーズ
・会えない大切な相手へのプレゼントニーズ
・ストレスの溜まる状況下での気分転換になるような体験をしたいニーズ

これらのニーズを満たすことのできるサービスにしようと思った。そして、少しでも記憶に残るような体験を提供できればいいなと思っていた。
お客様にとってはかけがえのない日に利用していただくことが多いサービスなので、品質には妥協せずに投資することにした。

・配達は外部委託せずに自社スタッフが丁寧に行う
・当たり前だがコロナ対策を徹底的に行う
・提供時間の直前に握る
・毎日市場で新鮮で高品質なネタを仕入れる
・任意でメッセージカードや花束を添えられるサービスを提供する

品質を担保するために、デリバリーのプラットフォームサービスは一切使用せず、非効率ではあるが、質を担保できる手段を選択することにした。そしてそれが強みになっている。

SUSHI+ DEMAEの誕生

そして誕生したのが「SUSHI+ DEMAE」だ。
高級鮨を職人自ら自宅までお届けするサービスだ。決して安くはない価格だと思うが、その分徹底的にサービスの質に拘っている。メッセージカードや花束を添えたりすることでお祝いやプレゼントにも対応できるようにした。

大変ありがたいことにスタートしてからすぐに、これまでにSUSHI+を利用してくださった方や知り合いを中心に非常に多くの方が即オーダーしてくれた。そのおかげで危機の中に光明が見えた。どん底だった中で注文が入り始め、その時は本当に心の底から感謝の気持ちが込み上げていた。

そこからは想定外の連続だった。
オーダーしてくれた方々がインスタのストーリーズを始めとしたSNSで感想を書いてくれたのだ。それが連鎖し、SNSを中心に一気に認知が拡がっていった。著名人の方々からもオーダーもたくさんあり、口コミが加速し、メディアやyoutubeでも取り上げてもらった。さらには、キャラデリバリーの企画にもご一緒させていただき、テレビでも取り上げてもらった。
皆さまのおかげでSUSHI+ DEMAEは急成長し、V時回復することができた。

危機の中で見えた新たな可能性

そして、僕らの元にもSNS経由でたくさんの感想の声が届いた。

さらにSUSHI+ DEMAEの可能性を感じたのは、SNS以外でもメールでわざわざメッセージを送ってくださる方が多くいたことだ。中には、都内の大切な人へのプレゼント用に海外や首都圏以外から購入してくださる方もいた。

外出ができない両親へ久しぶりに美味しい寿司を食べさせることができました。素晴らしいサービスですね。今後も利用させていただきます。
子どもが小さく、最近はずっと外食ができてませんでした。久しぶりに美味しいお寿司を食べることができて感激しました。

コロナによって僕らの行動は制限された。そのせいでいろいろなことができなくなってしまった。そうした中で一定の価値を提供することができたと思う。こうした声をわざわざ送ってくださり、本当にこのサービスを立ち上げて良かったと思えた。

そして、このサービスはコロナでなくとも求めてくださる人たちがたくさんいることに気付くことができた。世の中には何かしらの理由で外出ができない人たちが一定数いるということがわかった。それは、お子さんがまだ小さくて寿司屋に行けないとか、ご高齢で寿司屋に行けないとか、コロナが怖くて行けないとか、怪我をして行けないとかいろいろな理由がある。

SUSHI+ DEMAEはコロナ禍で自分たちが生き残るために始めたサービスだが、必要としてくれる人たちが一定数いることがわかったため、今後も重要な柱として継続していきたいと思う。今後は高齢者の施設などにもお届けしていきたいと思っている。

最後に

もちろん日常の食事としてのご利用も大歓迎なので、ぜひお気軽にオーダーしてくれたら非常にありがたいです。
新作の特選穴子寿司も開始しました!これからも新作は定期的に出していきたいと思ってます。

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4名からご自宅へ職人がお伺いする出張寿司も再開しています。コロナ対策をこれほどかというくらいに徹底して行なっていますので、ぜひこちらもよろしくお願いします。

SUSHI+は皆さまのおかげでコロナ禍を生き残ることができたと思ってます。本当に感謝しかないです。SUSHI+は鮨を通して、これから新しい取り組みをすることで恩返しをしていきたいと思ってます。

コロナの様子を見て、再度思い切ったチャレンジもしていきます!

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