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世界の農業3 (バナナ・実綿・天然ゴム)

今回は、バナナ、実綿(綿花)、天然ゴムの栽培を詳しく見ていきましょう。

バナナ

みなさん、バナナと言えばフィリピンやエクアドルを思い浮かべませんか?
しかし生産量を見てみると・・・

2019年

インドが世界の3分の1を占めています。エクアドルは世界5位、フィリピンは6位です。
一方で世界の輸出割合はこのようになっています。(今回も輸出量データは、こちらからもらいました。)

バナナの輸出割合(2021)

輸出量で見ると、1位がエクアドルが全体の25%、2位がフィリピンの8%です。インドや中国はやはり人口が多いため自国で消費しているのですね。中国はバナナの生産というイメージがなかったのですが、南の方ではバナナ栽培が盛んなようです。北から南へ広大な国土を有していることが実感できます。

実綿(綿花)

実綿の生産量も"イツメン"の中国とインドです。

2019年

実綿は商品作物なので生産量と輸出量は一致しています。

実綿の輸出割合(2021)

実綿の栽培は、花の時期までは降水量があり、実ができ始めるころは雨が降らないのが理想です。
インドはモンスーンの影響で夏は多雨ですが、それ以外はパタリと雨が止みます。

7月の降水量850mmはものすごい量です。降水量の多い日本の年間降水量が年1500mmぐらいなので、その半分以上が1か月で降ります。5月~9月の間に育ち、雨の降らない10月以降に実がなるという理想的な形が取れますね。
(降水量と気温のグラフの書き方は、こちらを参照してください。)

天然ゴム

天然ゴムの原産地はブラジルですが、栽培のほとんどは東南アジア諸国で行われています。

2019年

これは、天然ゴムの栽培にはとてつもない人手がかかるからです。ブラジルのジャングルの辺りには人がいないので天然ゴムのプランテーションは作れませんでした。
かつてはマレーシアに天然ゴムプランテーションが広がっており、生産量も圧倒的でした。100年ほど前にこのプランテーションで働くため多くのインド人が移住したため、今でもインド系住民が一定数住んでいます。

マレーシアの民族構成

マレーシアとインドはかつてイギリス領だったため、両国間での人の移動も盛んでした。そして当時イギリスでは自動車の普及期にあったため、タイヤの需要が増加していました。

地理Bで重要な点は、「人口移動の原則」です。
現在の人口移動は、

  • 一人当たりGNI低い国→高い国

  • 第一次産業→第二次産業→第三次産業

ですが、100年ほど前までは農業の人手のために人が動いていました。日本人がブラジルに移民したのもその例です。

現在の天然ゴムの生産量は、タイが1番、そして、インドネシア、カンボジアと続き、マレーシアは世界7位まで下がっています。なぜこのように変化していったのでしょうか。

これは1人当たりGNIの変化に関係しています。
マレーシアは近年工業化が進み、1人当たりGNIが高くなったため、労働集約的な天然ゴム栽培を行うにはコストが高くなりすぎたのです。

そこで、1人当たりGNIが低いタイやインドネシア、ベトナムに生産の拠点が移りました。最近はさらに1人当たりGNIが低く、人口が多く、さらに国土面積も広いインドネシアの生産量が上がってきており、タイとの逆転の可能性もあります。

なお、マレーシアはインドネシア同様、より商品価値の高いパーム油の生産に力を入れています。近年はタイでもパーム油の生産が増えてきており、世界生産の約90%をこの3国で担っています。

2021年のパーム油の輸出割合

パーム油は、「植物脂」、「ショートニング」、「界面活性剤」などとしてパン、お菓子、洗剤などさまざまな商品に使われています。この汎用性の高さから、世界的に需要が伸びています。

このパーム油はアブラヤシから作られるのですが、アブラヤシは熱帯でしか栽培することができません。

アブラヤシ

そのため熱帯雨林を切り開きアブラヤシ農園が作られていったため、生物多様性に大きな影響を与えています。日本も多くのパーム油を輸入しているので、間接的に環境破壊を引き起こす原因となっていることも知っておきたいところです。

余談

まだまだSASのRWI(Report Writing Interface)は勉強中です。最初はこのように、億を超える数値が指数表示になったり、3桁ごとの数値区切りができなかったりして困っていました。

失敗例

まだまだ日本のサイトにはRWIの情報が少ないので海外サイトを調べているとRWIでのformatの当て方が載っていました。

format形式を'comma12'のようにシングルクォーテーションでくくるという書き方でした。しかもいつものように、format形式の後にピリオド(dollar8.)を後ろにはつけないという、いつもと違う記述方法・・・。しかし発見して上手く行ったときはうれしいですね。
実際のSASプログラムは、農業シリーズの最後にまとめて公開します。

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