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忘れられない食事 Vol.3 映え

2017年の流行語大賞にも選ばれた「インスタ映え」という言葉。
意味するところは「写真映えのする華やかな」である。

きっかけは思い出せないが、私は2011年にInstagramを使い始めた。当時はまだガラケーが主流で、周囲にアカウントを持っている人はいなかった。
記念すべき初回の投稿はこちら。

前置きが少々長くなったが、今回はこの「インスタ映え」にちなんで、忘れられないゴージャスな食事を振り返る。お店は、ロンドンの老舗百貨店Harrodsの最上階にあるThe Harrods Tea Roomsと銀座にある資生堂パーラーの本店。

まずThe Harrods Tea Roomsだが、前の記事でも触れた2012年のイギリス滞在中に訪れた。目的はただ一つ、本場のアフタヌーンティであった。当時日本ですでにかなりの数のアフタヌーンティーをクリアしており、意気揚々と単身で乗り込んだ。高い天井からつかの間の陽が差し込む中、顔立ちの整ったボーイから丁重なもてなしを受けながら、ロブスターのサンドイッチやこっくりしたクロテッドクリームを載せたスコーンを食べた。まさに気分は英国貴族。イギリス滞在中基本的に不調だった私の胃袋は、この時ばかりは絶好調であった。

次に資生堂パーラー。「おいしいものを沢山食べるため」に、2014年に人生で初めて東京を訪れた。当時は時間よりもお金がなかったため、リュックと風呂敷包み一つで京都駅から深夜バスに乗り込んだ。食事にうるさい父親が同店のオムライスを絶賛していたため、一番最初の食事は自動的に決まった。銀座に到着してすぐ、身なりが不適切であることに気づいたが、後の祭り。構わず入店した。どう見ても「場にそぐわない小娘」だったにも関わらず、初老の紳士を始めどのスタッフも丁寧に対応してくれた。そして、オムライスは父親の評価どおり絶品だった。手間暇を感じるチキンライスが焼きムラのない卵に完璧に包まれており、ほっぺたが落ちた。

※去年再訪したときのもの。ハイクオリティなサービスは健在であった。

どちらの食事も当時大学生だった私にとっては明らかに「背伸びした食事」である。Harrodsのアフタヌーンティーは当時のレートで8000円近くしたし、資生堂パーラーのオムライスはサービス料を入れると3000円を超える。もちろん今でも身の丈には合っていない。

とはいえこうした華やかな場所に訪れると、良いサービスを提供しようとする人たちのプロフェッショナリズムに触れて、背伸びついでに背筋が伸びる。だらしのないわたしにとっては自分の至らなさを感じながら美味しいものを食べられる、先生のような場所なのだ。

参考:
ロンドンのアフタヌーンティー:The Harrods Tea Rooms
銀座のオムライス:資生堂パーラー

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