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自分たちが暮らす街に「落語」で笑える時間を

ちょうど一年前、私は妻と一緒に東京から栃木県・那須に移住してきました。那須塩原駅からローカル線で一駅の場所に黒磯とよばれるエリア。そこで暮らしはじめました。

黒磯は、駅前に大きな図書館があり、少し歩くと移住者を中心に盛り上がるカフェや雑貨などの商店コミュニティがある街です。観光で訪れた方と地域の方がゆるやかに交差する街ともいえます。那須山が遠くに見えるいいところです。

そこに越してきてしばらくして、気づいたことがありました。

「あれ?落語を生で聞ける場所がない……?」

落語との出会い

ちょっとだけ寄り道として、私と落語の出会いについて手短に書いてみようと思います。

9年前、学生時代に世界一周旅行をしたのですが、そのときに痛烈に感じたことが「自分は日本の文化を海外の人にちゃんと語れないんだなぁ」ということでした。いま思えば、けっこうありがちな話ですね。でも当時の自分はちょっとだけ悩んでいました。

帰国後にいまの妻と出会うのですが、妻は落語が大好きで寄席や落語家の独演会にも足を運んでいたので、そこで一緒に連れ出してもらって落語に触れたのがきっかけです。最初に生で聞いた落語は、たしか、柳家小三治師匠の独演会でした。

それまでは落語というと、ちょっと高尚なものに感じていたのですが、触れてみるとそのイメージは一転。むしろ、こんなに懐が深く、親しみやすいものだったのかと驚いたことを覚えています。

地方で落語に触れるのは、なかなかに難しい

あらためて話を戻すと、移住してからしばらくして、この街ではリアルな場で落語に触れる機会がなかなかないことに気づいていきました。

東京では寄席もあるし、少し足を運べば、落語に親しむ場所はたくさん用意されています。それに比べると、那須エリア全体で見れば、落語のイベントは全くないわけではないのですが、それでも少ないですし、黒磯ではほとんどないのが現状でした(他の地方でも似たようなものかと推察します)。

「あぁ、さみしいけど、でもしょうがないよね。」

地方ってそういうものだよね、と自分に言い聞かせて、この件はしばらく忘れていたのですが、その後とある出会いがあり事態は変わっていきます。

黒磯落語会のはじまり

ある日、那須の「森林ノ牧場」を経営する山川さんに出会い、実は以前、黒磯で2度ほど落語会を企画していたことを聞きます。

「でも最近忙しくて、しばらく落語会を企画できていないんだよね」

地元でも多方面で活動されていることを知っていたので、ある意味で趣味として落語会を企画するのは、限界があることはすぐに分かりました。

ただ山川さんはもともと落語が好きで、落語の魅力を地元の若い人たちにも伝えたい、体験してほしいと、想いを持って落語会を企画していたこともだんだんわかってきました。

「私たちが実行部隊として手を動かすので、落語会を復活させませんか?」

確か駅前にある図書館のカフェで、軽い気持ちでそんな会話をした記憶があります。たしか昨年の夏ごろでしょうか。こうして、私と妻、そして山川さん(後に山川さんの奥さんも参加)の4名で「黒磯落語会」の活動がささやかながらに始まったのでした。

6月5日(日)「黒磯みるる寄席」やります!

そういった経緯で始まった、落語と触れ合える場所を黒磯につくる活動。
いよいよそのデビューイベント(?)が来月開催します。

会場として、先程から何度か出てきている黒磯駅前の図書館「那須塩原図書館みるる」さんがホールを貸してくれることに。
そこでイベント名は「黒磯みるる寄席」に。

そしてお越しいただくのは真打の柳家緑也さん
90年生まれ、16歳の時に柳家花緑の門をたたき「落語界初の平成生まれの噺家」として注目を浴びている落語家さんです。
(実は、私と同い年、同じ愛知県出身で勝手に親近感を抱いております)

そして開口一番として、二ツ目の柳家緑太さんにもお越しいただけることに!

右も左も分からない中で、地元に落語の文化を届けたいという想いに賛同して那須までお越しいただけることに感謝しかありません。

ないのなら自分たちでつくる(それも地方の醍醐味)

振り返ってみると、「こういうイベントが黒磯でもあったらなぁ」と思うだけだったかもしれない状況から、自分たちでまさに「こういうイベント」をつくっていくということに。

ないものはない。
だけど、場合によっては自分たちでつくることもできる。

動きやすいことと、協力してくれる人がたくさんいること、そして人のつながりから意外な展開が起きやすい(笑)という意味で、地方は「ないのなら自分たちでつくる」が都会よりもやりやすいのかもしれません(あくまで私個人の感覚で、簡単に都会と地方で二分できるものではないと思いつつ)。

落語を見ながら、隣にいる知っている人も知らない人も一緒に笑っている風景。

私はそれを望んでいたし、今度のイベントで一緒になってその一員になりたい。でも主催者として当日はばたばたと忙しくするのかなぁ…w。まぁ、ちょっとくらいは、落語と街の人が重なり合う空間を感じられる余裕をくれてもいいよね神様。

東京から新幹線で1時間程度。
那須はちょうど新緑の気持ちいい季節です。
東京からのご参加もお待ちしております。一緒に落語で笑いましょ。

お申込みはコチラ☟

さいごに:派生して・・

今回の落語イベントの連動企画として会場の「那須塩原図書館みるる」さんにて今日から6月5日(日)まで、選書フェアを企画させていただきました!

「するってぇと、落語」というテーマで、江戸っ子言葉の「するってぇと(そうすると)」にちなんで、様々なキーワードから連想される「そうするとこんな落語を」「そうするとこんな本を」を提案しています。

実は去年まで東京の書店で書店員として働いておりましたので、そのご縁でみるるさんからも快諾いただき、腕まくりして鼻息荒く選書をさせてもらったという経緯でした。移住したばかりのころ。ただの利用者としてよく通った図書館で、まさかこうやって落語のイベントや選書の企画をできるとは……。

さてさて、6月5日。ちょっと大げさにいうと、この日、黒磯は落語が聞こえてくる街になります。

「きっと、そんな街のほうが楽しいよね」

私はそう思うのですが、どうでしょう。
当日はまずはなにより、実行委員の私たちが楽しみたいと思います。

よければ会場でお会いしましょうー!

☟くどいけど、やっぱり一人でも多くの方に来てもらいたいのでもう一度(笑)


22/05/03



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