応急手当の原点は人間愛〈救命救急のちょっとしたポイント〉
9月9日に重陽の節句に関してばかり書いて、『救急の日』だったことを失念していました。
一応医療関係の仕事をしているので、触れておこうかなと思います。
まず、この記事ではBLS(一次救命処置)、CPR(心肺蘇生)やAED(自動対外式除細動器)使い方などに関して述べるつもりはありません。
それに関しては、専門の消防署のサイトの確認や、きちんとした救命講習を受けましょう。
例えば、東京の消防庁のホームページには傷病者発見からのフローチャート図が載っています。⇩
そのため、この記事ではそれに補足するような内容を書いていきます。
○講習は定期的に受けた方が良い
普通自動車免許を持っている方は、人形を使った胸骨圧迫(心臓マッサージ)などの講習を受けたことがあるのではないでしょうか。
だから、「自分は一度やったことがあるから大丈夫」と思っているかもしれませんが、医療関係というのは時代と共に変化していくことがあり、応急手当もそれに該当します。
例えば、昔はマウストゥーマウスの人工呼吸は一般的だったのに、今は感染のリスクがあるため、かえって行わない方が良いとなっています。
「マウスシールド」など、感染予防できるグッズを持っている場合は人工呼吸が出来ます。
他にも、私が学生だった時(10年前くらい)に受けた心肺蘇生では、呼吸していないかを数える時「1、2、3、4、5、6、呼吸なし」だったのが、
2年前に消防署で受けた上級応急手当講習では、「呼吸確認、4、5、6、呼吸なし」に変わっていました。
(※6秒きっちり数えるのではなくて、「呼吸確認」で3秒経っているという認識に変わっているということです。
また、消防署のテキストでは10秒以内とありますが、6秒くらいで良いそうです。)
そのため、「一度受けたから」ではなく、「もしかしたら昔と違うかも」という気持ちで、近くの消防署の講習を受けるきっかけにしてみて下さい。
※今年はころなの関係で講習していないところもあるようなので、お住まいの消防署のホームページをご確認下さい。
東京だったらこんな感じで案内があります。他の都道府県でも案内があると思うので探して見て下さい。
また、消防署以外にも、消防署で「指導員の資格を取った方が開催している講習」などもあるそうですので、消防署の予約がいっぱいの場合はそちらで受けるのもいいかもしれません。
※当たり前ですが、生身の人間で練習は行わないようにしましょう。
○119連絡をした際に聞かれること
フローチャートにもありますが、「あなた119をお願いします」と言われることがあります。
その時は慌てずに119をして下さい。
119先から聞かれるのは、
①救急か火事か
②傷病者のいる場所
③傷病者の状態と手当の状況
④傷病者の名前、性別や年齢
(知り合いなら答えられるけど、知らない人なら性別とおおよその年齢だけでOK)
⑤貴方の名前と電話番号
(場所が特定できない時にかけ直すことがあるため)
②の場所を伝えないと救急車は来てくれないので、とりあえず場所を言いましょう。
【場所の調べ方】
・スマホで現在地の住所を検索
・近くの店やコンビニに聞く
・道路標識を見る:「〇〇市まで○kmの看板が見えます」など
・電柱に書かれている住所を伝える
※書いてない電柱もあります。
などでしょうか。
とりあえず分からない場合は知ってそうな人に聞いた方がいいかもしれません。
もう一つのポイント。先ほどの③に関することです。
スマホや携帯電話を持っている場合は、その場を離れずにその場でかけたほうがいいです。
救急隊は、傷病者が意識があるのか、出血しているのかなど状況を確認したいです。
その場にいた方が、正確に状況を伝えられますし、救急隊もどのような手当をしたらいいか指示を出しやすいためです。
どうしても携帯電話を持っていない時や先程述べたように住所が分からない場合はその場を離れて、公衆電話や、近くのコンビニやお店や民家に電話を借りましょう。
1秒でも早く、救急隊が到着する方が優先となります。
○AEDの設置場所について
これも、AEDを持ってくる担当に指示された場合ですが、
近くのコンビニには基本的にはあります。
ですので、とりあえず近くのコンビニに飛び込みましょう。
もしくは大きいスーパーとかデパートなら絶対あるはずですし、「AEDマーク」のシールが貼られているお店ならAEDを設置しているはずです。
また、『日本全国AEDマップ』などもありますので、こちらを見て確認するという方法もあります。
とりあえず以上、救命救急の基本的なことに対しての補足事項を述べてみました。
よくドラマなどで、「今は倒れている人がいたら写真を撮って拡散する」とかいうのを見かけますが、ドラマだけの世界であることだと願っています。
上級救命講習のテキストには、
『他人を助ける尊い心(人間愛)が
応急手当の原点です。』
と書かれています。
応急手当の講習の必要性を述べましたが、講習云々よりも、まずは助けようとする心だと思います。
「手当の方法が分からなかったら、分かる人に助けを求める」
それだけでも救命につながります。
拡散目的で写真を撮るような、心ない人が現実にいませんように。
この記事をきっかけに、少しでも応急手当や救命救急に興味を持って貰えると幸いです。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
★
ヘッダーのイラストはモリコハルさんのイラストを使わせて頂きました!
花火のイラストだったのですが、人を助ける心が繋がっていってほしい気持ちを込めて、温かなイラストを使わせて頂いております。
モリコハルさん、温かなイラストをありがとうございます!
2020.9.11 kuutamo
サポートしていただきました費用は小説やイラストを書く資料等に活用させていただきます。