見出し画像

3月24日 日本で結核が絶滅できない理由は?

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための質問例はこちら。

→結核、日本ではなぜ減少ペースが鈍ってしまっているのだろうか?


世界保健機関が1997年に制定した「世界結核デー」です。
1882年のこの日、ロベルト・コッホ博士が結核菌を発見しました。
克服されたかに見えていた結核が、再び猛威を振い始めたことから、結核の撲滅を世界に呼びかけています。


結核
昔の小説などを読んでいると、結核=不治の病、という時代があったことが分かります。実際、正岡子規、樋口一葉、石川啄木といった文豪も結核で亡くなっています。

あくまで昔の話、と思っていたら、現在でも亡くなる方はいるそうです。厚生労働省のHPには結核についてのページがあり、「令和2年度啓発の背景」として以下の記述があります。

* 結核は、患者数及び罹患率(人口あたりの新規結核患者数)は順調に減少しているものの、今でも年間15,000人以上の新しい患者が発生し、約2,000人が命を落としている日本の主要な感染症です。
* 近年、我が国においては外国生まれの患者数が増加傾向にあり、平成30年の新規登録結核患者数のうち外国生まれの患者数は1,667人(前年比137人増)です。

なんと、今でも年間1.5万人が結核になり、2千人が亡くなっている、というのです。

政府広報HPから「結核による死亡者・死亡率の推移」データを見てみましょう。
(縮尺の関係から分割して作成してる点、ご留意ください)

また、人口10万対と罹患率がわかりやすいデータを厚生労働省「2019年結核登録者情報調査年報集計結果」から転載します。

このように、順調に減少していた結核罹患率ですが、1980年代から減少ペースが落ち始め、1997年には増加に転じたことがわかります。その後の対策などで減少しつつありますが、まだ撲滅できていない病気、ということです。

都道府県別では、罹患率が高いのは比較的関西地区の大都市圏、中でも大阪府が高いく、東北が低い傾向です(下図)。

なお、世界各国と比較したデータをみると、欧米は罹患率は低く、近隣アジア諸国が高いことがわかります(下図)。


結核は、ご存知の通り空気感染です。新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う人々の行動変容は結核にどのような影響があるでしょうか?結核研究所の資料に2019年と2020年の1月から4月の新規結核患者登録数がありました(下図)。

これによると、全体では12%、潜在性結核感染症用治療者は29%と大幅な減少となっていてコロナ対策が結核の対策にもなっていることが分かります。

→結核、なぜ減少ペースが落ちてしまっているのだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。
頭の体操になれば嬉しいです。

昨年7月から同様の投稿をしています。かなり溜まってきました。
へぇ〜というものもあると思いますのでご興味があれば過去分もご覧ください。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?