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4月23日 消防車のシェア6割を握るニッチトップ企業

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための質問例はこちら。

→消防車は確かに一定の需要があるマーケットだが、財務的に余裕のない地方自治体が顧客である。人口も減っていく中で徐々に縮小していく中ではシェアを高めるのが1つだが、ほかにどのような成長戦略があるだろうか?


日本の消防車の5割を生産する株式会社モリタが制定した「消防車の日」です。1907年の同社の創立記念日。

消防車。
全国に何台ぐらいあるものなんでしょうか?
令和3年版消防白書によると、令和3年4月1日現在の消防車両等の保有数は以下の通りです。

消防ポンプ自動車、はしご自動車、化学消防車というところがいわゆる消防車、と考えると、約2.3万台の消防車があるようです。

こうした消防車、必要に応じて配備されている訳ですが、実は「消防力の整備指針」(平成12年消防庁告示第1号)に明確に基準が定められているのです。

例えば、消防署の数ですが、同告示第4条で「市街地の区域内の人口」ごとに設けるべき「署数」が定められています(例えば7〜10万人だと3つです)。

同様に、第5条では「消防本部又は署所の管理する動力ポンプの数」「消防団の管理する動力消防ポンプの数」がやはり人口ごとに定められています。今回のテーマですので以下に表の一部転載します(ちなみに表は30万人まであります)。


この消防車、調べてみたところ、記念日を作ったモリタというメーカーのシェアが圧倒的です。同社のHPみると以下のようなページがあってちょっとワクワクします。

さて、同社の決算資料に、消防車市場におけるシェアの推移がありました。

すごい勢いで伸びてます。ちょっとみにくいですが、シェア約6割です。

このきっかけになった製品がこちら。

これは、薬剤と空気を水と混ぜることで、従来品の10分の1以下の水量で同じ消化効果が出せる(つまり節水型ですね)という優れものです。

直近の2021年度第3四半期決算説明資料から業績をみてみましょう。

感染症の影響はあるものの、通期での売上高見込みは前年度比2%減、営業利益で同8%減と他の業界、企業に比べると落ち込みは抑えられています。

そして、売上高の6割を消防車両が占めていますが、通期見込みでは売上高で3%減、営業利益では15%減、となっています(下図)。

また、いずれのカテゴリも高いシェアを持っていることが分かります。


財務内容ですが、2021年3月末時点で、自己資本比率が63.7%、ROEが8.4%、とかなりの優良企業です。


消防車のトップ企業は優良企業でした。


→消防車は確かに一定の需要があるマーケットだが、財務的に余裕のない地方自治体が顧客である。人口も減っていく中で徐々に縮小していく中ではシェアを高めるのが1つだが、ほかにどのような成長戦略があるだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。

皆様の頭の体操に役立つ情報があれば嬉しいです。

一昨年の7月から続けてきました。以下のマガジンにまとめておりますのでよければご覧ください。


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