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8月10日 物流を支える、知られざる「パレット市場」

普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための質問例はこちら。

→物流を支えるパレットレンタルという存在。シェアリング、などという言葉が出てくるはるか以前からビジネスを行なってきた。こうした解決策は他にも何か応用できないだろうか?


2007年(平成19年)に輸送や物流に使われる荷物を載せる台「パレット」の協会である日本パレット協会が制定した「パレットの日」です。
日付は「パ(8)レット(10)」の語呂合わせ。


パレット。
なに?と思われる方が多いと思います。こちらです(出典:日本パレット協会HP)。

そうです。主はフォークリフトで運ぶときの台(?)です。変化形として車輪の付いたスーパーなんかで見かけるものもパレット、なんですね。

このパレット、日本全国で推計5億枚もあるそうです。

このパレット、同協会によれば2021年度には出荷額ベースで1,659億円、数量ベースで5,953万枚という想像以上に大きな市場となっています。

2021年では、TOP5は以下の通り。
☑️ 木製パレット:779億円、3,345万枚
☑️ プラスチック製パレット:553億円、1,603万枚
☑️ 金属製パレット:235億円、214万枚
☑️ リサイクルパレット・プラスチック:30億円、202万枚
☑️ 紙製パレット:30億円、186万枚

数量ベースでは、2010年比で、
☑️ 木製パレット:31%減
☑️ プラスチック製パレット:65%増
と耐久性が高く、金属製より価格の安いプラスチック製が伸びています

このパレット、当然ですが、メーカーなど製品を出荷する企業が購入して出荷の際に利用するのですが、納品したら戻してもらわないといけません

また、メーカーから納品先、で終わればいいですが、例えばメーカーから問屋、そして、小売店の各店舗へ、となると、問屋としては、わざわざ別のパレットに載せ替える手間とコストが増えます

それもムダなのでそのまま使ってください、となると、今度は全国各地の小売店の店舗にメーカーのパレットが分散してしまい、回収するのも大変ですし、回収するまでの期間が長くなる分、余分にパレットを持たないといけなくなります

みなさんならこの不便、どうやって解決しますか?

実は、ここに目をつけたのが、「パレットレンタル」というビジネスです。

パレットをメーカーに貸し出し、最終的に行き着いたところに近い拠点で回収する、というビジネスモデルです。

メーカーはパレットの購入、メンテナンス、回収などから解放されますし、途中でパレットを載せ替えることも不要になります。

今回初めて知ったのですが、世の中には色々なビジネスがありますねぇ。

このレンタルされているパレットの数は、約2,500万枚。

代表的な企業が3社あるのですが、そのうち日本パレットプール株式会社にあった具体的なコスト比較がわかりやすかったのでご紹介します。

レンタルパレットの基本的な費用計算は、単価(パレット1日あたりの単価)×貸出枚数×レンタル日数です。

<前提>
大阪から東京へ毎日荷物を発送する。
1日平均100パレット発送(年間3万パレット)/パレットが大阪に戻るまでの平均回転日数20日間

なるほど…

さて、この業界の大手3社の業績をご紹介します。

☑️ 日本パレットレンタル(株)(2022年3月期)
売上高:273億円(対前年6%減)
経常利益:9億円(対前年30%減)

☑️ upr(株)(2022年8月期第三四半期時点通期業績予測)
売上高:133億円(対前年3%増)
経常利益:6億円(対前年20%増)

☑️ 日本パレットプール(株)(2022年3月期)
売上高:70億円(対前年1%増)
経常利益:2億円(対前年60%減)

コロナ禍でも売上高はほぼ変わらず、利益は減らしているものの赤字には陥っていません。

物流のニーズが高いこと、それに伴って効率化のニーズが高いこと等が追い風なのでしょう。

しかも、各社ともパレットにICタグなどを内蔵することで物流の効率化を提案するビジネスや、業界を超えたAIを駆使した共同輸送マッチングサービス等にも乗り出しています(以下は日本パレットレンタル(株)の一例)。



最後までお読みいただきありがとうございます。

皆様の頭の体操のネタになるところが1つでもあれば嬉しいです。

一昨年7月からこのような投稿を続けてきてほぼ2年になります。以下のマガジンにまとめてありますのでご興味があれば覗いてみてください。


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