見出し画像

朗読LIVE 134 文房具漫談(前半)

朗読は、55秒あたりからです。

🔗原典、アーカイブは、下にリンクがあります!


*******

文房具好きである。
町の文房具屋さんだと、まごまごしているように見えると、おばちゃんが助けてくれてしまうので(もしくは不審な目を向けられるので)、あまりゆっくりしていられない。百貨店の文具コーナーになると、なんだかちょっと落ち着きすぎて(お店によっては、非常にオーソドックスなものしか並んでおらず)あまり長居する気にならないことが多い。

ちょっと面白い文房具を探したい時には、loftにふらっと吸い込まれる。はっきり言って危険地帯である。冷やかしただけで、なにも手に持たずに出て来る、なんてことは絶対にない。文房具は、お値段が手頃なので、つい財布の紐が緩くなる。たくさん手に持てば、羽ばたいていくものは多くなるのだけれども。同様、画材店もかなり危険である。しかしこちらは少々お値段が張るので、多少慎重になる(滅多に来られないから、という言い訳が出ると危険)。

ちょうど良いのは、書店にくっついている文房具のコーナーである。オーソドックスなものでも、新しく出たものが分かりやすく並べられていて、実用的なものから、ちょっとこだわりのものまで、お店によって工夫されている。本のポップのようにおすすめポイントが書かれていたりするのもまた楽しい。ちょっと頭を冷やして考えようと、本の棚を回遊することもできる。

最近は、文房具コーナーとか喫茶コーナーとか、本におまけが付いているお店も増えてきた。喫茶には、おしゃべりのために来られるお客さんも、もちろんいらっしゃる。しかしコーヒーが冷めるのも構わず、読み耽っていらっしゃる方率も高い。私のようにちょっと興奮しすぎて冷却中の方も満足そうにお静かである(勝手に同類認定)。
喫茶コーナーが流行り出す随分前から、喫茶ができる本屋さんがあった。当時はまださほどコーヒー好きでもなかったが、本を片手に、何かとても大人な気分、優雅なひと時を味わっていた。本の紙のにおいとコーヒーの作用で、お手洗いにも必ず寄ることになるが、すごく殺風景でひんやりとしたトイレだったなぁ、ということも併せて記憶に残っている。

文房具の話じゃなくなった。最近は、私の中で本と文房具がとても近いカテゴリになっている。寄るお店のせいでもあるのかもしれない。


文房具漫談(前半) 谷崎潤一郎

https://www.aozora.gr.jp/cards/001383/card58927.html


↓アーカイブもあります↓


最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。いただいたサポートは、朗読会実現に向けて使わせていただきます!