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覚悟が魅せるNARUTO歌舞伎

8月下旬、ほぼ何もできなかった夏に爪痕を残すべく、新橋演舞場に赴いた。

新作歌舞伎「NARUTO」を観にいくためである。

結論から言って、たいへん魅了された。

花道に近かったので、キャストの颯爽と駆け抜ける姿を間近で見ることができた。確かに風を感じた。

そして、何よりも驚いたのはそのストーリー。

ここで、3年前に上演されたスーパー歌舞伎Ⅱ「ONE PIECE」と比較してみたい。

「ONE PIECE」は人気が高い第1部のラスト「頂上戦争編」のみを取り上げ、歌舞伎にした。

数あるエピソードの中でも、義理人情の度合いが強く、歌舞伎にふさわしいものだった。エースの名台詞「愛してくれて、ありがとう」で泣けたのは言うまでもない。

一方「NARUTO」はというと、

全72巻を4時間にまとめ上げていた。

その驚きは半端なかった。
できるの? って思うだろう、普通。
週刊連載で15年もかけた長編が、たったの4時間になるなんて。

けれど、恐ろしいことに見事にまとまっていた。

もちろん、いろんなものを端折ってはいる。私の好きなキャラは出てこなかったし、とても重要な敵対集団である暁(あかつき)の戦い方は変わっていた。

でもその辺を差し引いても、構成がうまく完成度が高かった。

主人公ナルトの「自分の道は曲げない」ところ、ライバルのサスケの復讐や葛藤、ヒロインであるサクラの恋心。

それらキャラクターの核となるものを守りつつ磨き抜いたからこそ、うまくいったのだと思う。

脚本・演出のG2さんの覚悟、半端ない。そして演者の方々も。

主人公のナルトとサスケの演者(前回「ONE PIECE」のゾロとサンジを演じていた)の原作理解度の高さにも驚嘆した。本当にものにしていた。

サクラは女の子と見紛うほど可愛く、強く、可憐だった。また味のある悪役、大蛇丸の再現度が高すぎる。性別年齢不詳な役は、歌舞伎にはまるものだなとつくづく感じた。

最後、全員が集まるシーンは幻想的でうつくしく、それでいて「NARUTO」のメッセージにぴったりはまったもので、歌舞伎という芸術とマンガとの出会いに心から感謝した。

この後、大阪(11月なので無事開催してほしい)と京都(2019年)に巡回するので、見られる方はぜひ。

もう1回行きたい。







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