新規事業とスタートアップが「失敗する理由」~それが「成功する理由」だから
こんにちは、楠浦です。
今日は、日本において
「(大学発/DeepTech)スタートアップが、なかなか上手く育たない」
ことに課題意識を感じておられ、そこに貢献したいという、熱い想いを持たれた、将来有望で有能な学生さんとお話をさせていただきました。ある投資家の方にご紹介いただきました、ご縁に感謝申し上げます。
ここでは、その学生さんが
「課題意識」
として挙げておられた点について、私の見解、および、企業内発明塾やスタートアップ支援の現場でお話していることを、備忘録代わりに記しておきます。
DeepTech系スタートアップ/新規事業の失敗原因①~「不確実性」が高い
そもそも、サイエンスとして未知な部分があったり、エンジニアリング的に実現できるかどうかわからないもの、が多いのが DeepTech(ディープテック) のスタートアップや新規事業です。
後述しますが、単に
「不確実性が高いか低いか」
という議論は意味がなく、
「周りの人は不確実性が高いと思っているが、自分には、それほどではないということが分かっている」
という状況であるかどうかが、重要です。
よく
「不確実性が高いから、取り組むんだ」
という人がいますが、半分正解で、半分は、、、です(笑
「周りの誰もが不確実性が高いと思っているから、取り組むんだ」
というのが、正しいと思います。自分も、他の人が思う程度に不確実性が高いと思うなら、他のネタを探した方がよいですよと、私はアドバイスします。だたしこれは、私の経験からくるものですので、万人に通じる話ではないかもしれません、ご注意ください。
スタートアップや新規事業担当者と「投資家」の間の「情報の非対称性」が高い
高いか低いかという議論は、何と比べるか、という話をしないと無意味です。ここでは、「上場企業投資に比べて」ということでした。これは、一般論としてはその通りだと思います。情報公開の度合いも違います。また、そもそもスタートアップは、その分野の最先端を走ることに特化しているわけですから、非対称性は生まれやすい、と言えるでしょう。
僕が、その学生さんに申し上げたのは、
「非対称性があるから、スタートアップや新規事業は、成功するんですよ」
ということです。多くの投資家が、そのスタートアップの技術や事業の価値に、瞬時に気づく状況では、そのスタートアップは既に競争力を失っている、と僕は判断します。
例えば、僕が支援しているスタートアップは、
「(創業チーム以外では)僕だけが、理解できる」
「僕が、ギリギリ理解できる」
「その分野の専門家が、ギリギリ理解できる」
ものばかりです。門外漢のド素人が瞬時に理解できるものは、支援しても時すでに遅し、、、です。そもそも、放っておいても皆さんが支援しますから、僕に
「エッジ」
はありませんし、、、
スタートアップや新規事業がうまくいかない理由は、実は、それがうまくいく理由だからだ、ということをよく理解しないと、事業を始めるときも、投資するときも、失敗すると僕は考えています。これも、経験上の話ですので、いろいろな意見があるかもしれません。皆さんのご意見をお待ちしております。
「技術・アカデミア」業界と「ビジネス・投資」業界のギャップ
どちらの努力が足りないか、はさておき、「技術」と「投資」の両方に理解が深い方は少数派で、間をつなぐ人材は少なく、ギャップがあることは事実でしょう。
僕のところに来る相談も
「投資家に話が通じない、というスタートアップCEO」
と
「技術ある企業に投資したいが、技術のことがよくわからない、という投資家の皆様」
に、二極化しているからです。
ただ、これも先ほどの話と同様で、
「ギャップは、課題ではなく機会」
だ、と考える必要があります。
あるフェーズ以降のスタートアップが最初に会うべきなのは、
「その分野の技術とビジネス/投資の、両方を理解できそうな人」
です。どんなに希少でも、探す必要があります。変な人に会うと
「情報漏洩」
「競合を育てる」
「遠回り」
になるからです。
投資家の方も、同様だと思いますが、投資には相乗りも必要だったりしますので、そこまでシビアではないかもしれません。
「次に、誰に会うべきなのか」
は、新規事業立ち上げやスタートアップ支援では、欠かせない問いだと、僕は考えています。
これは、前職で
「特許情報」
を駆使して、
「必要な人にだけ会う」
を徹底した理由の一つ、でもあります。変な人に会うと、時間の浪費はもちろんですが、ネタをパクられて終わる、お金使って敵を増やしているだけになるからです。
これだけで、1時間ぐらい、その学生さんとはお話をしました。
重要なことですから。
楠浦 拝
P.S. スタートアップCEO・投資家・新規事業担当者の方は、以下、無料のメルマガも、ご利用ください。僕の24年の経験が詰まっています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?