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原点は「設計」~まだ無いものを、「ありあり」と目の前に描き出す仕事

こんにちは、楠浦です。

先日、ずいぶん久しぶりに、新幹線の新横浜駅を通る機会がありました。

何となく風景が変わっている気がして、キョロキョロしていた時に、目に留まったのが、以下です。

「いや、まさにこれ!」

と思い、備忘録として写真撮影しました。

同じく、備忘録として note に残します。

画像1

自動車、航空宇宙関係を事業分野とされている、株式会社タマディックさんの、広告です。

長く設計者としてやってきたのですが、ここまでズバリと

「設計者の心得」

を書いたものは、見たことがありません。

「ありそうでなかった」

というか

「それ、社外に出す?」

みたいな感じでしょうか。

項目ひとつづつについて、言いたいことが山ほどありますが、時間と紙面の関係で、つまみ食いにします(笑

●要するに、すべてを「書き残せ」ということ、だって、それが設計者の仕事だから

要所に、確認せよ、書き出せ、記録せよ、とあります。

これ、設計とは何ぞや、ということだと思います。

設計とは、最終的に

「書いて指示すること」

だと、私は思ってます。

「行って指示します」

では、失格だと、私は考えています。同じ理由で、

「現場から電話がかかってくる設計図」

も、NGです。

この辺は、以下でお話ししています。

設計図の

「すべての線、記号、そして文字」

には、明確な理由が必要で、かつ、

「読めば、誰にでもわかる」

ようにしなければならない、というのが、私が 川崎重工業(Kawasaki)で学んだことです。

なんと素晴らしい職場でしょう(笑

設計の難しさ、いや、楽しさは

「誰も、見たことがない」

ものを、

「現場の人が、よどみなく作れるように」
(そして、信じてもらえるように!笑)

指示すること、にあります。

現場の人は、

「これ、ホンマに作れるの?」

となると、まじめに動きません(笑

「青写真(BluePrint)」

という言葉があります。

「なるほど、出来上がったらこうなるのか」

というものを、自身以外(ex.製造現場)の人の目の前に、ありありと描いて見せ、信じさせる、それが設計という仕事だと、私は学びました。

「ほら、こういうのができる」

んですよ、あるいは、できるはずですよ、と。

楽しい仕事です。

好きな方にとっては、病みつきになる仕事だと思います。

僕も、そうです。

発明塾の原点も、そこにあります。

「まだ、存在しないもの」

について考えるのが、設計者であり、発明者(発明家)だからです。

●十分慎重に考えつつも、「常識にとらわれるな」という、絶妙なバランスを求められる

8.に

反原則設計

という言葉があります。設計者の多くは

「大半は、過去の設計を踏襲しつつ」

「どこかに、あたらしい要素を取り込む」

人種のようです。

私の川崎重工時代の上司も、先輩も、そんな方々ばかりでした。

理由があります。

「短期間で、信頼性の高いモノを出す必要がある」

一方で

「競合より、一歩抜きんでること」

を求められるからです。

以下で、取りあげました。

==以下、抜粋引用

「技術者の仕事というものは、芸術家の自由奔放な空想とはちがって、いつもきびしい現実的な条件や要請がつきまとう。
しかし、その枠の中で水準の高い仕事をなしとげるためには、徹底した合理精神とともに、既成の考え方を打ち破ってゆくだけの自由な発想が必要なことも、また事実である。
与えられた条件がどうにも動かせないものであるとき、その条件の中であたりまえに考えられることだけを考えていたのでは、できあがるものはみなどんぐりの背比べにすぎないであろう。
私が零戦をはじめとする飛行機の設計を通じて肝に銘じたことも、与えられた条件の中で、当然考えられるぎりぎりの成果を、どうやったら一歩抜くことができるかということを、つねに考えなければならないということだった」

「零戦 その誕生と栄光の記録」 堀越 二郎 著

==抜粋引用、終わり

私が、最後にエンジン開発に関わった機種である

ZX-10R

の開発においても、その設計者魂は、

「いかんなく発揮」

されました(笑

発揮したのは上司なのですが、エンジンについている発電機を

「従来の機種の、倍速で回転させる」

という、突拍子もないアイデアを思いつきました。

発電量は倍増するため、小型化できる、つまり

「軽量化できるだろ」

という理屈です。

もちろん、圧倒的に正しいです、理屈上は。

よくそんなことを思いついたなと、私は、あきれて何も言えませんでしたが、もちろん、まじめに付き合いました。

慎重な検証の結果、

「意外に行けそうだな」

ということで、図面を仕上げました。
(ちょうど、退職間際でした)

「ぶっ飛び」

上司と

「スーパー慎重」

な部下のバランスで、

「ダントツ」
「競合を圧倒する」

商品は、出来上がります。

たぶん、他の部品でも、同じようなことが繰り返されたであろうことは、想像に難くありません(笑

それが設計なのです。

「アホな上司には付き合えない」

とか言っている人は、設計の本質が見えていません。

「アホな上司の、ぶっ飛んだアイデアの中から、イケるものを見つけて具現化する」

過程が、設計なのです。

上司の言ってることがぶっ飛びすぎるように感じている間は、設計者としては

「ヒヨコ」

で、

「0.1人前」

ぐらいです。

「おー、そうきなさったか、ではでは、ちょっと検証してみますかね」
「意外に行けそうだけど、この辺がもうちょい、むずいっすね、どうします?」

ぐらいの感じになれば、半人前でしょうか。

ぶっ飛べるようになったら、あなたも一人前です。

実際、発明塾で行われている発明討議が、まさに、上記のようなやり取りになっていることに、

「発明塾(学生版)」
企業内発明塾

参加者の方々は、気づかれたと思います。

「えー、ちょっと無理でしょ」

というような着想も、よくよく調べていくと

「ギリギリ何とか、イケそう」

になってくる。

僕がこの感覚をつかんだのが

「川崎重工(Kawasaki)での、オートバイエンジン設計」

の仕事だったのです。

新規事業も、結局同じです。

「さすがに、これは事業としては無理でしょ」

と思えた企画も、よくよく調べ、考えると

「結構、いけそうだ」

になります。

結局、ずっと同じ仕事をやっている、ということになりますね、はい。

進歩がない人だ、と言えるかもしれません。

進歩が無くて、すみません(笑


楠浦 拝


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