【アパレル人の本心④】洋服が好きって言っているけど本当ですか?

「お金がなくなって、洋服なんか買う余裕ないよ。」

日本のGDP4−6月は、マイナス25%となるとの予測が強まっています。そうなれば、リーマンショックを超えるもので、1955年以降最悪の状態です。ほとんどの人が年収が2割程度減となり、人によっては職を失うことにもなるでしょう。

アパレル業界の様々なビジネスモデルの変化に着目していますが、最近危惧していることは、消費者が賢くならないと真摯なものづくりを続けているブランドやファクトリーが消えてしまうということです。

なぜなら、日本人は結局ほとんどの人が自分の価値感ではなく他人の価値感=多くの人が「これコスパが最強」「このブランドがアツイ」と賞賛したものを購入する傾向が強いからです。相変わらず、ファストファッションや一部のラグジュアリーブランドが支持されることが続くことでしょう。

最近「消費とは投票である」とよく言われますが、まったくそのとおりです。ファストファッションやトレンドのラグジュアリーブランド以外の選択肢を見つけることが面倒かもしれませんが、人生の多くの時間を費やした貴重なお金を使うにふさわしいものに使ってほしいと切に思います。

ちょっとキツめのお話をします。はじめにお断りしておきます。心当たりがあってイヤな感じだと思わせてしまうかもしれないです。その時は飛ばしてください。

仕事柄よく「洋服が大好き ファッションが大好き」という人にたくさん出会います。

「今シーズンのグッチどう思いますか?」
「スニーカーはY3かバレンシアガのどっちがいいですか?」などなどの声をよく聞きます。加えてユニクロのコラボ商品についても話題にのぼることが増えました。

自称洋服好きな人は、洋服が好きなのではなく、ファッションオタクや世間でお洒落と言われているブランドが好きなだけなのでは?と感じること多々あります。

ヨージやギャルソン、サンローランやグッチやマルジェラ、バレンシアガ、ゴウシャなどのラグジュアリーブランドetc...など結局ホットな話題性のあるブランドに関心が高い傾向が強く、無名であっても質の高い商品を提供している国産ブランドやファクトリーを発掘するファッションオタクに出会ったことは、昔も今もあまりありません。

価値があると評価されるブランドの力を借りて承認されること、羨望されることを目的にしていることに過ぎないように感じます。

実は、本当の洋服好きは少ないです。

愛着が消えるのか頑張って買っても針金ハンガーにかけて、溢れているクローゼットに押し込んでいる場面を見ること多数です。

余談ですが、ヨーロッパでは、ラグジュアリーブランドを買うことは、それを持つにふさわしい階級の人でなければならないという考えがあります。そもそもブランド品を身につけてもいる人は街を歩いておらず、常に車の中にいるので見かけることがほとんどないと聞きます。

日本は日本の文化があると思いますが、自称洋服好きの人の間では、未だにブランド信仰が根強いなあと感じます。

洋服好きでない普通の人も同様です。夏になると分かりやすいのですが、ブランドネームが施されたシャツやポロシャツ、Tシャツを着ている人が一気に増加します。アメリカンブランドからスポーツブランドまで、一発でそれと分かるものを着る人をたくさん見かけます。

今後の日本のファッションは消費者である私たちの投票行動いかんで変化することになります。闇雲に人がいいねと言っているものに追従しないように心がけましょう。

面倒かもしれませんが、洋服に対する知識を深め、自分の価値感にあった「共感する、応援したい」と思えるブランドやメーカーのものを選ぶ消費者が増えるといいなあと思っています。

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