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【映画】アルフレッドヒッチコック『鳥(The Birds)』を見た感想
アマプラでヒッチコック『鳥』見てすぐこの感想を書いている。古い映画なので、色んな考察や裏話も調べたら出てくるだろうけど、まず自分で感じた事、今の社会に通ずる事など色んな思いが浮かんできたので書き残す。
まず一言素晴らしい映画だった。1963年の映画なので現在2024年の技術から見ればところどころ合成や張り合わせ感を感じる部分はあるにせよ、最初にペットショップ?で男女が出会い、甘い恋愛物語が始まるのかと匂わせておいて、徐々にのどかな港町は鳥たちの不可解な動きによって不穏さが増していき、最終的に地獄絵図になるというストーリーが単純におもろい。
ヒッチコックの映画は以前に『サイコ』も見たけど、最初は想像もしない恐怖に段々と近づいていくというか、深淵に引き込まれるような感覚がすごいなぁって思った。
単なるストーリーありきの創作物語・夢物語じゃなくしっかり視聴者を釘付けにするのは、この映画が現実の社会問題へのメッセージや皮肉が込められているからだろう。
ペットショップで都会の社長の娘が『愛の鳥』を買い、田舎の港町にそれを持ち込んだことから異変は生じ始める。カモメ・カラス・スズメたちが主人公たちや町人を襲い始めて、ついには養鶏場の主人は鳥に殺される。
印象的だったシーンがレストランで鳥類学に詳しい町のおばあさんが、「鳥は頭脳も小さく集団で人間を襲うなんてありえない」と言うシーン。「鳥は美しい存在で人間こそ・・」と鳥について熱心に説明してる最中に後ろから「フライドチキン3人前よ!」と注文が入る。
おばあさんは「人間こそあらゆる生物の敵だ」と続ける。するとカウンターで飲んでいた酔っ払いが「世界の終わりだ!」と聖書の一節を語りだす。またある人は「鳥なんてぶっ殺せばいいんだ」と言う。それに対して鳥おばあさんは「無理だよ。世界の鳥類は8650種、アメリカだけで57億羽、世界では約1000億羽を越える」と鳥の議論は過熱していく。
公開当時どういう社会問題をアメリカが抱えてたかは知識の少ない自分にはわからないが、これは今にも通じる大事な教訓が含まれてるだろう。当たり前のように人間は鳥がいる場所で暮らしてたり、ニワトリなどを食べてるけども、畏敬の念や感謝を忘れてはならんのだと。
この映画では人間が鳥に襲われ、どんどん人間の立場が狭められ、最終的に家に閉じこもるしかなくなり、人間がカゴの中の鳥のような状態になることで、逆に人類の暴虐性というのを示唆してるんだろう。
これは鳥だけでなくあらゆる動物や自然に対しても言える事だろう。人間は欲望のままに傲慢になってはいけない。自然と調和し、共存する方法を考えなきゃいけないんだと。
この映画のラストでは主人公の母が都会の彼女を受け入れ、母と息子の家族愛、主人公2人の恋愛などを包みながら『愛の鳥』を連れて都会に向かうという綺麗な終わり方になっている。
個人的にはもしバッドエンドで終わっていたとしても素晴らしい映画だと思っただろう。それくらいストーリーの組み立て方、社会的意義、細かいディテールもとても良かった。ホラーなんだけどちゃんと恋愛要素・夫に先立たれた母の孤独など大衆につなぐためのポイントも用意されていて、それがチープじゃなく素晴らしい。
というか鳥って言葉もわかんないだろうし、ちゃんとした構図とかストーリーに沿って操るの単純に大変だろうからすげえなって思った。カラスがジャングルジムに大量に群がってるのとか、家の周り鳥だらけになってたけど迫力もすごいなと思った。
自分の住んでる地域はカラス多いんだけど、でかいしクチバシ鋭いしあれが集団で襲ってきたら・・・って想像すると怖い。映像も綺麗だし、メッセージ性も素晴らしい映画だった。
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