怒りのポイントを探れ
わたしは喧嘩が好きではないし、得意でもない。
人に対して直接怒りをぶつけたりしたことはあまりない。
ただ、しょうもないことで密かに怒ってしまうことが、ごくたまにある。
口に出すか出さないかは相手による。
アンガーマネジメントという言葉を最近よく聞くようになったが、自分が一体どんな時に怒ってしまうのか、把握しておいて損はないだろう。
金曜日の仕事終わりに待ち合わせて、食事に連れて行ってもらった。
そのお店はひつまぶし屋さんだった。
わたしは鰻が大好きだ。
ひつまぶしを一通り楽しんで、店を出た。
他にも、一緒に居酒屋に行った時の注文の仕方。
「半熟卵のシーザーサラダと、ニラ玉。あと出汁巻卵と〜、豚平焼きで」
いや、卵ばっかりやん。
またある時は、
「茄子の揚げ浸しと、チキン南蛮。それと〜、キスの天ぷら。あと、揚げ出し豆腐と、ポテトフライも」
ちょっと待ってくれ、揚げ物ばっかりやん。
わたしは食への執着心が異常に強い。
これまでの傾向によると、わたしの怒りのポイントは、美味しいものにあるようだ。
他にも、一緒に旅行を計画していた時のこと。
目的地は鰹のタタキで有名な高知県。
ふと吐き出されたこの台詞。
「鰹って旬いつやっけ?旬じゃなかったら鰹のタタキ食べられへんかもな」
わたしの怒りのポイントは、美味しいもの。
怒るのも無理はない。
他にもこんなシチュエーション。
同じ会社で働いていた信楽さん(仮名)。
60代後半で、すでに退職されている。
今でも、当時の職場のメンバーで年に一度ぐらい集まり、仲良くさせていただいている。
信楽さんは、当時から職場のムードメーカーで人気者。
見た目は信楽焼の狸にそっくりで、歳上の男性に対して失礼かもしれないが、癒し系でとてもかわいらしい方だ。
なお、信楽焼に似ているというのは、こちらから言い出したのではない。
ご本人のLINEのアイコンが、信楽焼と一緒に写った写真である。
先日偶然信楽さんに会った。
奥様と一緒にお出かけされているところだった。
「信楽さん!」
「おぉ!久瀬ちゃん(わたしのあだ名、仮名)」
久しぶりの再会にテンションが上がった。
「こちら久瀬ちゃん。昔〇〇支店で一緒に働いてた子」
と、丁寧にわたしのことを奥様に紹介してくださった。
仲良さそうなご夫婦の姿に、心の底からほっこり癒された。
翌日、信楽さんはわざわざLINEで連絡もくださった。
「毎日のお仕事お疲れ様です。昨日はお声がけありがとう。偶然でビックリ!
久瀬ちゃんの顔見てホンワカムードになれました」
あれ?わたし今、スマホの画面に向かってめっちゃ怒ってた?
わたしの怒りのポイントは・・
そうか。
信楽さん、ちょっと美味しそうやからか。
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さて、次回の #クセスゴエッセイ は
「ぱられるわーるど」
をお届けします
お楽しみに〜
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