自叙伝を書けと言ったあの人の自叙伝はどこにありますか (1)
登下校時になると、中高一貫校の母校とその最寄り駅の間を、スクールバスがひっきりなしに往来していた。最寄り駅のバス停には、毎朝誰かしら先生が立っていて、バスに乗り込む生徒との間で「おはようございます」の応酬が繰り広げられる。その中でも、一際気だるそうに挨拶を返してくる男の先生がいた。これから一日が始まるぞ、頑張ろう!という時の挨拶としては0点どころかマイナス点に達するような「おはようございます」を毎回喰らわされるので、その先生が立っている朝は少し憂鬱な気分になった。いつも地面に