クールでセクシーに取り組むのは難しい

アメリカの大学に交換留学したての頃は、なんでも" That's cool!" といっていた。全然クールじゃないことも、とりあえず Coolという言葉を使ったし、皮肉を込めて男友達に「セクシーだね」的なこともいっていた。

「気候変動のような大きな問題は楽しく、クールで、セクシーに取り組むべきだ」

昨年、こんなことを言った小泉進次郎は、あの超名門のコロンビア大学院を卒業している。入学にはTOEFLの試験があり、最低でも100点(120点満点)と言われている。おそらくハーバードなども視野に入っていたと思う。

そんな英語堪能で頭がいい小泉進次郎も、環境問題は「クールで、セクシー」に取り組めていない。

日経新聞によると、2030年までの温暖化ガス削減目標を現状のまま据え置き、数字目標を変えず「さらなる削減努力」をすると明記した。欧州連合は50年までに排出実施ゼロを目標として掲げているのに対し、日本は及び腰である。

私は、このニュースを読む前に、3月30日に経産省がリリースした「新国際資源戦略」を眠気眼で読んでいた(月曜日は仕事疲れますね)。

これは資源や燃料政策が大きく変化する中で、「3E+S」原則のもと新しい資源戦略を策定すべきであると説いている。

3E + S の原則とは
Energy Security (安定供給) 
Economic Efficiency (経済効率性) 
Environment (環境)
Safety (安全性)

この原則に基づいてエネルギーを供給しようとするもの。

寝つきの悪い方にはぜひおすすめ笑!

「3E」の原則は、第一次オイルショックを受けて生まれた。海外輸入がほとんどである化石燃料に頼ることはリスクであり、そんなエネルギー構成から脱却を目指したワケである。

この「3E」に適したエネルギー、つまり安定供給できて、経済的にも環境にも良いのが原子力発電だった。

しかし、原発事故が起こり、最後のS = Safetyが付け加えられた。

これらを満たす理想のエネルギーはない。石炭火力は安価で発電効率もいいが、いかんせん環境がダメである。そもそも、現在のエネルギー構成は化石燃焼が70%強で、その資源は9割方、海外から輸入している。

ちなみに、再生可能エネルギーは環境面でだけよくて、あとはお荷物の存在。電力の考え方としては、たくさんあればいいのではなく、需要にあった量を供給すること、もしくは逆(デマンドレスポンス)。私も、最初は多ければ多いほうがいいのでは?と思ったが、供給が需要大幅に上回ると周波数のバランスが崩れて大規模停電になる恐れがある。太陽光、風力などの再エネは、電気の需要関係なく発電するが、蓄電する技術がないため、揚水発電所等で一時的に余剰電力を吸収している。

でも、不都合なことにそんな余剰電力も、我々国民のお財布から「再エネ賦課金」という形で取られているのが現状である。

そんなこんなで、日本のエネルギー政策には課題が山積みであり、資源エネルギー庁がそのことをいろいろ説明してくださっている。


私が交換留学したときの、最初のセメスターは本当の課題(宿題)で手一杯でまったくもってクールでもセクシーでもなかった。課題を一つ一つ解決する先に、クールでセクシーに取り組む余裕ができるものである(ちなみに、その後、アメリカ人の彼女ができました!!!)

最後まで読んで頂きありがとうございます。