現代俳句 作品集 17 〜麦の秋〜
「 麦の秋 」
~現代俳句〜
さいげつのしずかさをきく風鈴よ
三日ほど風をかんじてころも更え
正さずに崩さずに着てすずしさよ
あかん坊のそして家族の鯉のぼり
みずくさもゆらりゆらりと金魚鉢
歩道橋どちらを見てもなつつばめ
軒したよあさひるゆうの巣立ち鳥
目の奥に浮かぶけしきよ奈良風鈴
かっこうのこえ山の声かもしれず
おもいでよふときこえだす蝉時雨
◇
わき立てよくずれくずれて雲の峰
アイスティー喜怒哀楽の街あるく
さいげつよあともどりなく衣更え
島じゅうよ青葉若葉のかぜのおと
なお奥にいざなうか山ほととぎす
とりどりに盛りつけて和よ夏料理
およぎでてひとりにひとつ島の海
つきつぎにとぶ海光よなつかもめ
夏の海すべてゆるしてきらめくか
どの子にもねむるちからよ夏布団
◇
君がえらぶあおいかおりよ香水店
アロハシャツ戦争平和なみのおと
なにおもうなにもおもわず大夕焼
恋はひとり愛はふたりの夕焼けよ
夜釣りしてろうじんはいま少年か
まじまじと観る戦争よ冷そうめん
ぼろぼろの戦車ともども草あおむ
こうだいなへいわなみうつ麦の秋
空たかくして低くしてふんすいよ
町晴れてそらにつながる虹ひとえ
5月12日〜5月25日
いつも
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