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選句集「花の宴」 40句




この句集は悠凜さん選による特別篇です


今年の春から
毎週「今週の1句」として
選んで頂いていた俳句をまとめた句集です




「花の宴」
~悠凜選句集~


◇ 秋冬の部 ◇


目つむって天上を聴くひぐらしよ

野菊摘む天地のことば摘むように

きりぎりす飛んで死ぬまで風の原

赤とんぼどれも夕陽ののこり火か

どのひともいつか灯となる流灯よ

生きること死ぬこと天の河のした

たかだかとこころがのぼる名月よ

月あおぐそのとうとさを知る人と

かがやいて地球ひとつぶつゆの玉

もの思う秋をはるばるとんびとぶ

ながれ星死んでもつづくのが旅か

舞う雪よ立ちどまるときみな一人

焚火してふるさとの風飼うひとか

母というひかりがそこに日向ぼこ

ひとひらのふたひらのゆめ風花よ

てのひらへなんどきえても雪の花





◇ 春夏の部 ◇


夢かたるこの人もいま木の芽どき

わだかまりひと口でとけ春の菓子

春満月そうつぶやいてしまうほど

たび終えて心しばらくかげろうよ

寝てもゆめ覚めてもゆめの蝶の昼

さしてくる日のひかりごと耕すか

行く道のはてから吹いてくる春よ

かぜすってこころのしろい梅散華

一人仰ぐひとりはしずか山ざくら

見るひとのおもいそのまま桜咲く

舞いふぶくさくらもひとも平成も

いつまでも去れないままに花の宴

いちぞくとそらへだててぞ夕涼み

ゆかた着て心とおくにあるひとよ

ちんもくも言葉のひとつほたる籠

あかん坊はまるごといのち天花粉

ひた歩くこころの氷河とけるまで

身ふるわす梅干しひとつちから玉

かたりあうあの日この日よ時計草

ものおとの絶えたふるさと雲の峰

見つづけてとおくなりゆく滝の音

満天の星のこどくよキャンプの火

やわらかに日焼を洗いながす手よ

あおぎみるだれもが虹の国のひと



Kusabue


悠凜さん
ありがとうございました

さいごまで
ご覧いただき
ありがとうございます

Kusabue






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