現代俳句 作品集 7 〜朝日夕日〜
「 朝日夕日 」
~現代俳句集〜
あしもとにとどく日ざしよ冬木立
サーカスの旗はためいて冬が来る
冬かもめ花咲くように飛びたつか
近海のむかしなつかしくじら跳ぶ
さいげつをただよう鴨か水のうえ
きた山からみなみ山へとふゆの虹
ぱちぱちとたき火のこえよ葛城山
焚き火していましばらくは星の空
マスクしてひとりひとりの交差点
今日までの旅今日からのかえり花
あるはずの地球のにおいふゆの星
◇
しずけさに又鳴く鶴のしずかさよ
日本史を吹き抜けてきた木枯しか
いちりんよさざんかの木に日の光
銀閣の寂びしたたってはつしぐれ
船の水尾ひろがりつつよ冬に入る
ちらばって小春ひなたの島じまよ
人力車降りていまの世冬あたたか
金堂よおともさだかにはつしぐれ
山じゅうが散るしずかさよ紅葉川
恋ふたり焚火のようであってこそ
幸をよぶ火よいつまでも宮焚き火
◇
風が火を吹きちぎっては磯焚き火
あしあとが散らばって行く雪の門
冬蝶のたましいにそら晴れてこそ
木がらしよ家すえながくにわの松
毛糸編む月日を編んでゆくように
いちりんよへいわ通りのかえり花
ゆうぞらを行くかぜになれ落葉焚
くだり列車むかしむかしへ冬夕焼
けぶり立つ街灯いくつはつしぐれ
寒灯よはたらくひとのつくえの上
人工衛星見あげてみえず夜々の冬
◇
ロケットの軌跡ひとすじふゆの空
瀬戸内のひとりひとりが冬かもめ
戸島から見えるのも島日なたぼこ
野仏は野になるまでよ日なたぼこ
峡谷のそらともどもに木の葉降れ
三津浜港冬よりしろくかもめ飛ぶ
寄せ鍋よ道後しんじつ湯気ゆたか
ロボットがはたらきだした街よ雪
仰ぐひと雪とひとつになりゆくか
五重の塔れきしの果てのかえり花
わたむしよあさひゆうひの五重塔
11月04日〜11月21日
発表日順
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