現代俳句 作品集 6 〜風のおと〜
「 風のおと 」
~現代俳句集〜
釈迦の弟子るいるいとして鐘の秋
旅どこにたどりついても露けさよ
たびびともすすきの穂わた草千里
みずからをなつかしみつつ今年酒
松山よどの句碑からもあきのこえ
赤とんぼ時代とどまることしらず
菊の香よふる里よりもなつかしく
我のひとよ和のひとびとよ月見酒
菊いちりん今へとつづく香りこそ
京都タワー月日ぐるりと秋の暮れ
ゆうぐれてどの道からも秋のこえ
◇
都市たかく灯ともってこそ流星群
しずかさにとぶ秋蝶のゆうぐれよ
さしてより秋蝶の野よ日のひかり
温め酒だまっていてもにぎやかよ
丘のそらはからんころんと鐘の秋
奏上のこえに夜明けてあきまつり
町じゅうが喜怒哀楽よあきまつり
石手寺の寂びきわまって秋のこえ
身にしみて茜のそらよ飛鳥乃温泉
黙として自分のなかのあきのこえ
このいえのいくとしつきが柿の秋
◇
屋根屋根に日ざしがしみて峡の秋
城あとよ風にただようあかとんぼ
秋惜しむこつぜんと街ゆうばえて
ゆく船の千々のあかりよ明けの月
明けぞらよ鈴虫がふるすずのおと
みごとな日みごとな雲よすすき原
飛鳥寺そのむかしからあきのくれ
中華街あかあかとしてあきの灯よ
流星よ嶺々のうえまた屋根のうえ
小豆島オリーブの実に晴ればれと
海ばらのここにも島よ秋刀魚焼く
◇
城映えて山あかあかとあきのくれ
スカイツリー真ん中に置き流れ星
カラスいま街燈の上ハロウィンか
マンションよ夜風のおとに残る虫
曼珠沙華朝日にいろをとりもどす
散りやまず銀杏大樹のかげのうえ
屋じょうよ秋かぜという街のおと
大どおりいっぽいっぽの果てよ月
虫鳴いて生死の果てのかぜのおと
身にしみて時計がきざむ時のおと
瀬戸内海千々にきらめきすすき原
10月13日〜11月3日
発表日順
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