現代語俳句集 6
「 白ゆかた 」
遠くからながめる富士の涼しさよ
梅雨晴れの空へあるいてゆくか坂
いち族の写真いちまいほたるの夜
梅雨の夜の一つひとつが祈りの灯
背なかからかんじる覚悟父の日よ
まっ白な蝉つぎつぎと生まれ出て
ふるさとの空おもうたび蝉しぐれ
☆
京風鈴はるかなおとのすることよ
江戸ふうりん隣の家は京ふうりん
その人のまわりあかるむ白ゆかた
仰ぎみる目をつらぬいて炎暑の陽
さっと書く風という字の涼しさよ
乾杯のグラス鳴らして暑気ばらい
まどに立つひとりひとりが月見草
kusabue
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