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高校2年生の夏。

淡い思い出。モノクロと、カラーの間の様な。


もう随分と前なのに。

ふと、あの頃を思い出したりする。


夏の、もわもわっとした
綿あめみたいな
立体的な積乱雲をみたとき。

梅雨の時期の
ジメジメっとした
雨の日のアスファルトだったり、

体育館から聞こえる
ゴム底がキュッキュと
床を引きする音からも。


当時、
私は雪国の学校に通っていた。


短い夏。


高校の学校祭は、
夏休みの前にあって。


6月からその準備などをするので
必然とクラスメイト同士で

恋が芽生える事が多かった。


ちょうど、
今みたいな時期だ。


学校の制服も
6月になってから
夏服に変わり

少し、見慣れない女子たちの格好に

(うちの高校はブレザーだったから
 女子はギンガムチェックのベストとスカートになる)


少し戸惑いながら。



ヨウコ。


高校2年生の、夏。

恋をした子の名前だ。


大丈夫。

今ググっても出て来なかった笑



同じクラスの子で

学校祭の準備からかな

急に近くなって。


私は、男子バスケ部で、
ヨウコは、女子バスケ部のマネージャー。


(くるみじゃないくるみって、初めてかも)



高1の頃は
女子バスケ部のプレーヤーが好きだった。


同じく
高校1年の時、
バレーの磯辺絵梨子
という選手が好きだった理由も

その同級生に
「顔が似ているなぁ」

と思ったのがきっかけだ。


実に単純であるが
当時の自分はそんなくだらない
恋愛経験に乏しいモテない高校生だった。


磯辺絵梨子については、上の記事で。


磯辺絵梨子似の子(くるみ)は
自分の、どタイプの容姿をしていて

色白で
目がクリっとしていて
背が小さく
ほっぺがピンクだった。


ヨウコは対照的で、

地黒で
目が細く一重で
背は小さく少しぽっちゃり
ほっぺは赤っぽかった。


ロシア人の様なくるみと
アイヌ人の様なヨウコ。


当時から
顔のタイプはあれど

好きになる人は
顔では選んでいなかったのだな

と思う。



ふたりとも

勝気な性格をしていた。

可愛い顔をしているのに笑。


ふたり乗り。


学校祭の準備を、
ヨウコと一緒にする時間が多かった。

なぜそうなったのか
きっかけは覚えていないけど


教室の、
窓際にある机を挟んで

購買で買ったジュースを飲みながら
2人の時間を過ごしたり、

帰る方向が一緒だからと、

自転車にヨウコを乗せて
家まで送って行ったりして。


ただ、一緒にいる時間が多かったからか


自分の自転車に乗ってくれたからか


肩にしっかり気味に
ギュっとつかまる
ヨウコの手を感じながら


汗ばむ時期に
恋の匂いが

自転車が風を切る毎に

香ってきた気がした。


ふたり、笑ったあの時間は、
一体、なんだったのか。



今でも
机を挟んで

うちわを仰ぎながら

窓際のなびくカーテンに
よりかかる

ヨウコの姿を思い出す。




学校祭が始まると

ヨウコは

同じ男子バスケ部のやつと


付き合っていた。




借りた漫画。


「ヨウコとあいつ、付き合っているらしいよ!」


「学校祭で付き合う事になったんだってさ」


そんなショッキングな報告を受けたのは

学校祭が終わり、
夏休みも終わって

朝晩は、少し肌寒くなった頃に始まる

2学期の始め。


人づてに、聞いた。



どうりでか。


学校祭が終わり


夏休みにかけて、



ヨウコは私を避けるように

PHSへの連絡も
自らはして来なくなったし


会う約束も

取り付けてくれなかった。


「ちょっと部活とかバイトとかあって」


同じバスケ部のやつと

付き合う事になって


とは、教えてくれなかったし


そんな素振りも見せなかった。


鈍感な自分が悪いのだけど、




今なら分かる。


借りた漫画を返す口実に

少しだけ会おうと約束して


ちょっと話せるかな


話す時間さえあれば
また、あの夏の前の

キラキラとした時間が

ふたりに戻ってくるんじゃないかな


ってそんな淡い期待をして



「じゃあ、行くね」


漫画を渡すと

ヨウコは逃げるように
その場から去ろうとする


少し、時間ないかな?


そう聞いたが

返事は重く


「ごめん、皆待ってるから」


と部活終わりに
ちょっと抜けてきたアピールで

その場を取り繕った。


わかった。。


そこで、
自分の恋は終わった。


夏休み中の出来事だ。



雨が降っていて、

ジメジメとした日。

コンビニ前の、

アスファルトに溜まる
やり切れない顔を写す鏡の水。



そして、
夏が終わり、

先にあるように


あいつと付き合っている事を、知る。



後日談。


ヨウコが言っていた

と共通の友人から聞いたのだけど


「自転車にふたり乗りしただけで、
 勘違いしたのかな」



するわーーーーい



盛大にするわいな!!笑


こっちはウブな高2なんじゃいぼけーー笑


しかも、
購買で買ったジュース

何回も、

間接キッス♡


してたやないかーーい!くっそーーー笑


今を生きる
令和の高校2年生は

勘違い

しないのかな。



あの頃から
もう20年以上も経って思う事。



【 そばにいてさえくれれば 】


ここには大きな過ちがあって


そばにいてくれないから
そう思う。


そう思った時点で、
もう、そばにはいてくれないのだ。



同じキラキラとした時間は
一度、失われてしまうと

儚くも

もう、戻る事はない。


それが恋であり、
青春なのだ。


大人になった今でも
さほど変わらない。


少し、惰性で生きるくらいで


自分がそばにいて欲しい

あの時のヨウコは






いない。









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